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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 落花・惜花

2013年03月17日 | 日本古典文学-春

庭落花といへる心をよませ給ふける 太上天皇
今はとて散こそ花の盛なれ木すゑも庭もおなし匂ひに
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

落花を 花園院御製
春風は吹としもなき夕暮に梢の花ものとかにそちる
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

後法性寺入道前関白家歌合に、花下明月 俊恵法師
花よりも月をそこよひ惜へき入なはいかて散をたにみん
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

後冷泉院御時、月前落花といへる心をよませ給うけるに 大納言師忠
春の夜の月もくもらてふる雪はこすゑに残る花やちるらん
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

月前落花といへる事をよみ侍ける 内大臣
今はとて月もなこりやおしむらん花ちる山の有明の空
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

久方の空はくもらぬ雪とのみ木のした風に花そちりしく
(宝治百首~日文研HPより)

落花衣にちるといへる事をよめる 藤原永実
ちりかゝるけしきは雪の心ちして花には袖のぬれぬなりけり
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

さくら花あまきる雪とふりしくにはらはぬ袖のぬれすも有るかな
(宝治百首~日文研HPより)

ぬれもせしはらはてゆかむさくらはなそてにはゆきとちりかかるとも
(文保百首~日文研HPより)

醍醐にまかりたりけるに、清滝に花のちりかゝりたりけるか、岸には雪のやうにつもりて水にはつもらさりけるをみてよめる 瞻西上人
ちる花のなかるゝ水につもらぬもそれさへ雪のこゝちこそすれ
(金葉和歌集(初撰二度本にありて底本になき歌)~国文学研究資料館HPより)

河上落花といふ事を 権中納言雅縁
雪とのみさそふもおなし河風にこほりてとまれ花の白浪
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

水辺落花といへる心を 藤原泰綱
吉野川みねの桜のうつりきて淵せもしらぬ花の白浪
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

水上落花といへる事をよめる 源雅兼朝臣
花さそふあらしや峰をわたるらむ桜なみよる谷河の水
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

筑波山。此面彼面の花盛。此面彼面の花盛。雲の林の影茂き。緑の空もうつろうふや松の葉色も春めきて。嵐も浮ぶ花の波。桜川にも着きにけり 桜川にも着きにけり。
(略)
いかにあれなる道行人。桜川には花の散り候ふか。
何散方になりたるとや。悲しやなさなきだに。行く事やすき春の水の。流るゝ花をや誘ふらん。花散れる水のまにまにとめくれば。山にも春はなくなりにけりと聞く時は。少しなりとも休らはゞ。花にや疎く雪の色。桜花。桜花。
散りにし風の名残には。
水なき空に。波ぞ立つ。
おもひも深き花の雪。
散るは涙の。川やらん。
(略)
常よりも。春べになれば桜川。春べになれば桜川。波の花こそ。間もなく寄すらめとよみたれば
花の雪も貫之もふるき名のみ残る世の。桜川。瀬々の白波しけければ。霞うながす信太の浮島の浮かべ浮かべ水の花げにおもしろき。河瀬かなげに面白き河瀬かな。
(謡曲「桜川」~謡曲三百五十番集)

落花風
散るとたにわきてはみえす久堅のあまきりかすむ花の山風
(草根集~日文研HPより)

つもり行く日数にそへてみよしのの山の桜は雪とふりつつ
(宝治百首~日文研HPより)

永仁二年三月内裏三首歌に、山路落花を 伏見院新宰相
木すゑより散かふ花を先たてゝかせのした行しかの山道
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

落花満山路といへる心をよめる 赤染衛門
ふめはおしふまてはゆかむかたもなし心つくしの山桜かな
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

落花をよめる 平長時
さらてたにうつろひやすき花の色にちるをさかりと山風そふく
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

山家落花といへる心をよめる 前大納言俊実
花のみなちりての後そ山さとの払はぬ庭は見るへかりけり(イ見るへかりける)
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

またれてはさきけるものをやまさくらをしむにちらぬはなやなからむ
(嘉元百首~日文研HPより)

延喜御時奉りける歌の中に 紀貫之
おしみにときつるかひなく桜花みれはかつこそ散まさりけれ
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

花はみな夜更(よふ)くる風に散りぬらんなにをか明日(あす)のなぐさめにせん
(和泉式部集~岩波文庫)

久我内大臣の家にて、身にかへて花おしむといへる心をよめる 権中納言通親
桜花うき身にかふるためしあらはいきて散をはおしまさらまし(イおしまさらめや)
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

身にかへて花をもなにか惜むらん又こむ春にあはさらめやは
(宝治百首~日文研HPより)

惜落花
はかなくも花はうき世のことわりにまかせてちるをととめかぬらん
(草根集~日文研HPより)

一すちに風もうらみしをしめともうつろふ色は花のこころを
(宝治百首~日文研HPより)

落花を読侍ける 正三位知家
なからへん物ともしらて老か世にことしも花のちるをみるらん
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

落花をよみ侍ける 入道前太政大臣
花さそふあらしの庭の雪ならてふりゆく物は我身なりけり
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

十六日 甲辰 此ノ間、将軍家、御灸ヲ五六箇所ニ加ヘシメ御フト〈云云〉。今日評定有リ。事終ツテ、前ノ武州、事書ヲ持参シ、御前ニ披覧セラルルノ後、人人退散ス。前ノ武州、猶評定所ニ還著シ、庭上ノ落花ヲ覧、一首ノ御独吟有リ。
 事シゲキ世ノナラヒコソ懶ケレ、花ノ散リナン春モシラレズ
(吾妻鏡【仁治二年三月十六日】条~国文学研究資料館HPより)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mono)
2015-02-27 21:49:34
吾妻鏡記事を追加しました。
返信する
Unknown (mono)
2015-03-29 12:34:01
謡曲「桜川」を追加しました。
返信する

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