monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「関を据える」用例

2016年04月08日 | 日本国語大辞典-さ行

 「関を据える」という用語の語釈「関所を置く。関所をつくる。」の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『新勅撰和歌集』(1235年)恋二・七五五からの例が早いのですが、さらに、284年さかのぼる用例があります。

寛平のみかど、御髪おろさせたまうてのころ、たゞ御帳のめぐりにのみ人は侍はせ給うて、近くも召し寄せざりければ、書きて御帳に結びつけゝる
たちよらば影踏むばかり近けれどたれか勿来の関をすゑけん
(巻第十・恋二、683、小八条御息所)
『後撰和歌集』(岩波文庫・松田武夫校訂、1945年、112~113ページ)

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古典の季節表現 春 櫻に寄せて-哀傷

2016年04月08日 | 日本古典文学-春

正暦二年諒闇の春、さくらの枝につけて、道信朝臣につかはしける 実方朝臣
墨染のころもうき世の花さかりおり忘てもおりてける哉
返し 道信朝臣
あかさりし花をや春も恋つらんありし昔を思ひ出つゝ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

ほりかはのおほきおほいまうちきみ身まかりにける時に、ふか草の山におさめてけるのちによみける かむつけのみねを
深草の野辺の桜し心あらはことしはかりはすみそめにさけ
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

嵯峨の院かくれさせ給ひての春、きさいの宮たちのおはしますところに、花をさし入れて かやが下折れの関白
かかりけることしの春の花なれば色をも香をも憂しとこそ見れ
その花に書き付けさせ給ひける 中宮
かかりけることしの春に長らへて憂しとも花を見るぞ悲しき
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

子にまかりをくれて侍けるころ、東山にこもりて 中務
さけはちるさかねは恋し山さくらおもひたえせぬ花のうへかな
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

やよひのころ、人にをくれて歎ける人のもとへつかはしける 成尋法師
花さくらまたさかりにて散にけんなけ木の本を思ひこそやれ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

さくらをうへをきてぬしなくなり侍にけれはよめる よみ人しらす
うへをきし人なき宿の桜花にほひはかりそかはらさりける
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

 三月になりぬれば例の月に参りたれば堀河院の花いとおもしろし。兼方、後三条院におくれ参らせて、
  いにしへに色もかはらず咲きにけり花こそ物は思はざりけれ
と詠みけん、げにと覚えて、花はまことに色もかはらぬけしきなり。
(讃岐典侍日記~岩波文庫)

むすめにまかりをくれて、又のとしの春、さくらの花さかりに家の花を見て、いさゝかにおもひをのふといふ題をよみ侍ける 小野宮太政大臣
さくら花のとけかりけりなき人をこふる涙そまつはおちける
 平兼盛
おも影に色のみのこるさくら花いく世の春をこひむとすらん
 清原元輔
花の色もやともむかしのそれなからかはれる物は露にそ有ける
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

弘安元年三月、藤原景綱ともなひて西山の良峰といふ寺にまうてゝ、外祖父蓮生法師旧跡の花のちり侍けるをみて人々三首歌よみ侍けるに 前大納言為氏
尋きて昔をとへは山里の花のしつくも涙なりけり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

道命法師なくなりて後、法輪寺のいほりの桜の咲たるをみて 赤染衛門
たれみよと猶にほふらん桜花ちるをおしみし人もなき世に
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

前大僧正行玄身まかりて後、何事も引かへてなけかしくおほえ侍けるに、又の年の春、ひえの山にのほりて、花のおもしろく咲たりけるを見てよみ侍ける 前大僧正全玄
けふみれは深山の花は咲にけりなけきそ春もかはらさりける
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

花のさかりに藤原為頼なとともにて、石蔵にまかれりけるを、中将宣方朝臣、なとかかくと侍らさりけむ、後のたひにはかならす侍らむときこえけるを、そのとし中将も為頼も身まかりにける、又の年、かの花を見て大納言公任につかはしける 中務卿具平のみこ
春くれは散にし花も咲にけりあはれ別のかゝらましかは
返し 前大納言公任
行かへる春や哀と思ふらむ契し人の又もあはねは
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

式部卿敦慶のみこなくなりて、右衛門督兼輔とふらひて侍ける返事に 三条右大臣
春ことに花はちるとも咲ぬへし又あひかたき人の世そうき
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

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古典の季節表現 春 櫻に寄せて 寄花恋

2016年04月06日 | 日本古典文学-春

女院をはつかに見たてまつらせ給ひて、桜に付けて聞こえさせ給ひける あたり去らぬの一条院御歌
いまさらに霞隔てば山桜人目見てきと人に語らん
御返し
春を経て霞晴れせぬ山桜いかなる折か遠目にも見む
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

西四条斎宮のもとに、花につけてつかはしける 権中納言敦忠
匂ひうすくさける花をも君かため折としをれは色まさりけり
返し 雅子内親王
おらさりし時より匂ふ花なれはわかため深き色とやはみる
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

年をへていひ渡侍ける女の、さすかにけちかくはあらさりけるに、春のすゑつかたいひつかはしける 大中臣能宣朝臣
いくかへりさきちる花をなかめつゝ物思ひくらす春にあふらむ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

桜のいとおもしろう咲きたるを見て、往(い)にし人のもとより、「散らぬ先に、今一度いかで見む」と云ひたるに
疾(と)うを来(こ)よ咲くと見る間に散りぬべし露と花とのなかぞ世の中
といひやりて待つに、日比になりぬれば、いひやる
来(く)まじくは折りてもやらん桜花風の心にまかせては見じ
といひたれば、「なかなかあだの花は見じとてなむ」と云ひたるに
あだなりと名にこそ立てれ桜花霞のうちに籠めてこそをれ
(和泉式部続集~岩波文庫)

寄殘花戀
葉がくれに散りとゞまれる花のみぞ忍びし人に逢ふ心地する
(山家集~日文研HPより)

寄花恋
つれもなき人にみせはやさくらはなかせにしたかふ心よわさを
(山家集~日文研HPより)

寄花恋  摂政左大臣
あたなりし人の心にくらふれは花もときはのものとこそみれ
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

寄花忍恋
思ふ事色にいつとも人とはは花の物いはぬ陰やたのまん
寄春木恋
身にそしむ色も匂ひもなほ迷ふ花のかりねの明けし契は
寄花別恋
おくれかせ花桜戸の休らひにいてゆく袖のあかぬ匂を
寄花契恋
たのめ置く中の契も花のかにふかからぬ夜の袖の別ち
寄花恋
契りしもうき名はよそにちりの世の花にあたなる色やまさらん
(草根集~日文研HPより)

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「風交(かぜまぜ)」用例

2016年04月01日 | 日本国語大辞典-か行

 「風交(かぜまぜ)」という単語の早い用例として日本国語大辞典・第二版では新古今和歌集(1205年)をあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

落花
吹ちらす梢のはなを天の原風ませにふる雪かとそみる
(巻第二百四十六・従三位頼政卿集、春)
『群書類従・第十四輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、529ページ

 風ませに雪はふるともみになさす我家の梅を花にちらすな
(巻第二百三十四・家持集、早春部)
『群書類従・第十四輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、161ページ

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