注目の連邦公開市場委員会(FOMC)は、大方の予想通り金利水準は据え置かれ政策金利は5.00~5.25%を維持ということになった。
前回までの10会合連続、都合5.00%という歴史的な利上げは、いったん様子見ということに。実際に連邦準備理事会(FRB)もここまでの累積的な利上げの効果を見極めた上で、追加の引き締めが妥当かどうかを判断するとしている。
パウエル議長も会合後の記者会見で、利上げのペースや幅よりもインフレを抑えるために十分な金利水準を見極めることが重要だとした。急速かつ大幅に利上げしたことの評価に時間を割きながら追加利上げを判断するのが「理に適っている」としている。ここまでの利上げ幅を考えると現状は政策の落としどころを探るということだろうし、過去にFRBが引き締め局面で陥りがちだった「引き締め過ぎ」、「やり過ぎ(overkill)」を回避するということだと思われる。
今回の決定で一定のサプライズ感があったのは、FOMCメンバーによる経済・政策見通しにて示された今年末の政策金利の水準が、予想より切り上げられたこと。年末の政策金利の予想中央値は23年末が5.625%と前回3月時点の5.125%から0.5%切り上げられた。0.25%の利上げを年内2回実施することを基本シナリオにしたことを意味する。
この水準は一部のタカ派の地区連銀総裁が唱えていた水準でもある。
記者会見でパウエル議長は、2023年中に「幾分か」の追加利上げが適切になると、ほぼ全ての政策当局者が予想しているとした。ただし、その一方で「これらは決定事項や計画ではないという点を強調したい」とも述べた。市場では、今回休止の後に次回7月の会合にて0.25%に利上げを見込み、それで終了という見通しが織り込まれていた。
この次回7月について議長は、7月は会合してみないと結果が分からない「ライブ」なFOMCになるとした。それまでに現れる経済指標や金融経済の種々の反応から判断することになる。
こうした発言を受け、市場の一部では7月も利上げ見送りを見込む向きも現れるのだろう。実際に年内2回の利上げを示した点でタカ派と言える決定にもかかわらず、米国株式市場は連騰を続けていたダウ30種平均こそ下げたものの(大手保険会社1社の下げが指数を大きく引き下げた)、ナスダックもS&P500種平均も上昇で取引を終えた。いずれにしても総じてFRBの利上げサイクルは終盤という判断がある。
一方、こうした動きを受けたNY金だが、声明文発表前に利上げ据え置きを読んで前日比10.30ドル高の1968.90ドルが通常取引を終えていた。しかし、その後明らかになったメンバー予想にて、金利見通しおよびインフレ率、失業率の上方修正が明らかになると時間外で売り直された。一時1952.50ドルまで売られ14日の時間外取引は1955.70ドルで終了した。
なお、金市場にとって想定以上にタカ派的といえる内容のFOMCだが、ポイントは翌営業日に改めて売り直されるパターンが多いということ。この点で本日15日の値動きが注目されるが、NY時間外のアジアからロンドン、NY早朝と1950ドル割れが続いている。1900ドル接近があれば、押し目買いの水準。