クリスマス休暇入りの薄商いで特に見どころもなかった先週の金市場だが、CFTCが発表するファンドのポジションだけは違った。要はこのところ漸増傾向のショート(売り建て)がどうなっているかが、関心の対象だった。結果は、20日までの1週間でショート単体では3700枚(重量換算11.6トン)増え、前週は微増となったロングは手仕舞い売りが進み1万枚程度(33トン)減少したことで、ネットの買い越し量は357トンまで低下した。ちょうどFOMCにて来年の利上げ見通しが2回から3回に上方修正されて、大きく売られた15日の取引結果を踏むデータでもある。ロング、ショートそしてネットの数値も今年2月16日以来の低水準となる。
価格の方は1198.6ドルと一度は1200ドル大台に乗ったものの、売り戻される中でのことだった。1月末に発表された日銀のマイナス金利政策の導入に刺激された新規買いとショートの買戻しが同時に起き、その後、急速にネットのロングが拡大していく矢先のタイミングだった。
ショートがさらに膨らみ続けるには、この上さらに長期金利の上昇とドル高の組合せが必要になると思われるが、それは昨日書いたように、各所に“歪みが溜まる” 金融環境となるわけだ。クリスマス休暇明けに軽い調整局面が訪れるならば、金市場では内部要因からはショート・カバーが出やすい状態といえる。
来年の春節は1月28日に始まるようだが、中国は本来であればこのタイミングでの安値には買い向かうのだが、今回は人民元安(ドル買い)を誘発する金輸入を当局が牽制しているようで、買い引き合いは高まっているものの、それが輸入増という形にストレートにつながっているのか見えにくい。