亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

英金融波乱に揺れる市場、米コアCPI注目

2022年10月12日 21時28分27秒 | 金市場

国債相場急落の中で浮上した英国の年金基金運用トラブル問題だが、市場の安定化を図る 英中央銀行イングランド銀行(BOE)の介入期限(9月28日発表)が今週末14日に迫っている。

 

当初から2週間あまりの期間での沈静化は難しいとの見方が大勢を占めていたが、期限が迫る中で英国債の利回りは再び上昇基調を強めている(価格は下落)。 複数の英年金基金が、保有する長期債を担保に融資を受け再投資に回すレバレッジ運用(負債をテコにした運用)で金利がらみのデリバティブ取引に充てていた。ところがトラス新政権の(財源なき)大型減税策発表をきっかけに、担保の長期債相場が急落し追加担保を要求されていた(マージンコール)。取引を解消したり、追加の証拠金ねん出の国債売りが(処分売り)膨らみ、英国債市場は危機に瀕していた。

沈静化のために20年超の長期債に絞った介入に乗り出したBOEだが、11日は対象範囲をインデックス連動国債(インフレ連動国債)に拡大すると発表した。それでもこの日ワシントンでのイベントに参加していたBOEベイリー総裁は、予定通り14日で停止するとして、「私が伝えたいのは、残されているのは3日だというメッセージだ。これを終えなくてはならない」と年金基金運用担当者に維持できないポジションをそれまでに整理するように警告した。

この発言を受けて市場の値動きは大きくなり、英ポンドは1ポンド=1.1ドルを再び割れる1.0952ドルと、約2週間ぶり安値をつけ、英10年債利回りは一時4.550%まで上昇し介入前の高水準4.611%に接近した。英国発の動きは米国債に波及し、米10年債も一時4.005%と直近の高水準4.010%に迫り、引けは3.945%だった。

長期金利の上昇に米国株式市場も不安定さを増し、ナスダック総合株指数は5日続落の1万0426ポイントと連日で年初来安値を更新して終了した。こうした中でリスクオフでドルが買い戻されDXYが終盤に上昇。NY金は前日比10.80ドル高の1686.00ドルで終了していたが、その後の時間外で売り直され1673.20ドルで終了していた。

 

明日は市場注目の9月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。総合指数の市場予想は前年比8.1%となっているが、焦点はエネルギーと食品を除いたコア指数(コアCPI)の動向となる。8月の6.3%から6.5%への上昇が予想されている。家賃や人件費など「しつこいインフレ」の加速が見られれば、FRBのインフレ抑制の利上げの長期化を示唆するばかりか、ターミナルレート(最終引き上げ水準)の上昇観測が強まり、ドル高、国債安(利回り上昇)、株安となりそうだ。ゴールドも売られる可能性が高いが、仮に1650ドルを割れれば9月末の安値に対する2番底を付ける動きを想定している。

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