12日に発表された9月の生産者物価指数(PPI)は、前月比上昇率が0.4%で、市場予想の0.2%を上回った。前年比では8.5%の上昇に。市場予想は8.4%上昇だった。インフレ圧力の強さを示したと受け止められた。ただし、物価指標としてより重視される本日発表の消費者物価指数(CPI)の内容を見極めたいとする向きが多く、反応は限定的だった。
9月に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨も公開された。政策金利を景気に抑制的な水準に引き上げ、2%のインフレ達成に向けその水準で維持する方針を示したが、これは予想通り。これまでの急激な利上げが、景気に過度の圧力をかけ、やり過ぎ懸念が市場で指摘されるが、「行動が少な過ぎた場合の代償は、やり過ぎた場合の代償よりも大きい可能性が高いと、多くの参加者が強調した」となっていた。このあたりも過去のパウエル発言にあったもの。
その一方で、「現在のかなり不透明な世界経済と金融環境の中では、経済見通しへの著しい悪影響のリスクを和らげることを目的に、追加引き締めのペースを調整することが重要であろうと数人の参加者が指摘した」との記載が目についた。つまり、状況によっては利上ペースの緩和も必要との意見が一定数存在する。
この夏までの市場は、こうした表記や内部意見は、ハト派の現れとして株高に焼き直されたが、そうした動きは今回見られなかった。この1カ月余りの間に、FRBのタカ派的姿勢について市場で消化され、織り込みが進んでいるといえる。
本日発表の9月米CPIについては、昨日取り上げたように変動の大きい食品とエネルギーを除く「コアCPI」の伸びが注目点となる。 幅広い品目・分野に物価上昇が及んでいることが判明すると11月のFOMCでの大幅利上げを後押しすることになる。 コアCPIは前年同月比6.5%の上昇が見込まれているが、仮にそうなれば、今年3月に付けた1982年以来の大きな伸びへの再加速となる。結果が上振れて、市場内で再び0.75%でなく1.00%利上げ観測が生まれることが、市場波乱につながることになる。6.6%以上の伸びを予想する見方も多いだけに、果たしてどうなるか。
12日のNY金の通常取引は、前日比8.50ドル安の1677.50ドルで取引を終了したが、前日の時間外取引の終了価格を4.30ドル上回っている。この日国内円建て価格については、ドル円相場が先月9月22日の政府・日銀の介入当日の高値を突破し146円台に入り24年ぶりの水準に上昇(円安)したこともあり、グラム当たり7900円前後まで上昇している。