亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

コアCPIの上振れが波乱要因

2022年10月13日 21時17分37秒 | 金市場

12日に発表された9月の生産者物価指数(PPI)は、前月比上昇率が0.4%で、市場予想の0.2%を上回った。前年比では8.5%の上昇に。市場予想は8.4%上昇だった。インフレ圧力の強さを示したと受け止められた。ただし、物価指標としてより重視される本日発表の消費者物価指数(CPI)の内容を見極めたいとする向きが多く、反応は限定的だった。

 

9月に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨も公開された。政策金利を景気に抑制的な水準に引き上げ、2%のインフレ達成に向けその水準で維持する方針を示したが、これは予想通り。これまでの急激な利上げが、景気に過度の圧力をかけ、やり過ぎ懸念が市場で指摘されるが、「行動が少な過ぎた場合の代償は、やり過ぎた場合の代償よりも大きい可能性が高いと、多くの参加者が強調した」となっていた。このあたりも過去のパウエル発言にあったもの。

その一方で、「現在のかなり不透明な世界経済と金融環境の中では、経済見通しへの著しい悪影響のリスクを和らげることを目的に、追加引き締めのペースを調整することが重要であろうと数人の参加者が指摘した」との記載が目についた。つまり、状況によっては利上ペースの緩和も必要との意見が一定数存在する。

この夏までの市場は、こうした表記や内部意見は、ハト派の現れとして株高に焼き直されたが、そうした動きは今回見られなかった。この1カ月余りの間に、FRBのタカ派的姿勢について市場で消化され、織り込みが進んでいるといえる。

 

本日発表の9月米CPIについては、昨日取り上げたように変動の大きい食品とエネルギーを除く「コアCPI」の伸びが注目点となる。 幅広い品目・分野に物価上昇が及んでいることが判明すると11月のFOMCでの大幅利上げを後押しすることになる。 コアCPIは前年同月比6.5%の上昇が見込まれているが、仮にそうなれば、今年3月に付けた1982年以来の大きな伸びへの再加速となる。結果が上振れて、市場内で再び0.75%でなく1.00%利上げ観測が生まれることが、市場波乱につながることになる。6.6%以上の伸びを予想する見方も多いだけに、果たしてどうなるか。

12日のNY金の通常取引は、前日比8.50ドル安の1677.50ドルで取引を終了したが、前日の時間外取引の終了価格を4.30ドル上回っている。この日国内円建て価格については、ドル円相場が先月9月22日の政府・日銀の介入当日の高値を突破し146円台に入り24年ぶりの水準に上昇(円安)したこともあり、グラム当たり7900円前後まで上昇している。

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