亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「まずはレーバーデー明け初日に1700ドル台復帰」

2012年09月05日 16時49分18秒 | 金市場
さて注目のレーバーデー明けの取引が本格的に始まった。その初日に金は一時1700ドル大台を5ヵ月半ぶりに回復した。

ISM製造業景況指数を大いに注目と書いてきた。4日に発表された8月の結果は3ヵ月連続の50ポイント割れとなる49.6というものだった。ちなみに50が景気の拡大縮小の分かれ目でここまで「6月49.7」、「7月49.8」そして今回「49.6」と推移してきた。

同様の景況指数はNYやフィラデルフィア、シカゴなど各地区連銀毎で発表されるが、いずれも8月は悪化が目立っていた。ISMのものは全国レベルのもの。今回の49.6は、09年7月以来の低水準であり、製造部門が勢いを失っているといえ、QE3期待が市場では高まった。現地午前10時の発表直後に、結果を受けて金が急騰したのは、もちろん来週のFOMCでの追加緩和実施を連想してのもの。それで1700ドルにタッチしたが、その後は益出しの売りに押し戻された。

思うにこの結果により、よほど7日の雇用統計が良くない限り、来週のFOMCでは何らかの追加策が講じられるのは間違いなかろう。おそらく雇用者の増加が10万人+αという判断に難しい結果に終わった場合には、今回のISMの結果を加味して判断するのではなかろうか。今回のISM統計では新規受注が47.1に低下し、こちらも3ヵ月連続の50割れとなったが、09年4月以降もっとも低い水準となっている。そもそも雇用統計は遅行指数とされ、遅れて影響が出ることでも知られる。したがって、足元のISMの悪化は年末に向けた雇用見通しに懸念を持たざるを得ない材料といえるわけだ。

さらに今年は、ここでも何度が取り上げた「雇用の崖(Fiscal Cliff)」の問題がある。意見対立が先鋭化する民主共和両サイドの状況からみて、企業サイドは先行きを懸念しており、雇用や設備投資に及び腰になってもおかしくないし、既にそれは起きているのだろう。それが既に今回のISMに反映されているともいえよう。

この秋から年末に向けて、金価格を考えさせる(?)材料がぞろぞろ出そうだ。





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