FOMC議事録は、時に議長記者会見付きの時でさえ、表面化していなかった論議の内容が浮上し意外な値動きにつながることがある。つまり材料となる。
その面で今回も注目度も高まっていた。面白いことに今回は“ややタカ派的” というものと“ややハト派的”という両方の評価が見られた。読み手の立ち位置によって、如何様にでも解釈できる中立的な内容ということか。結局、ユーロ圏と日本の苦戦に新興国の減速傾向も懸念事項ではあるものの、その中で米国の回復は続くだろうというもの。原油安もドル高も好悪両面の影響があるが、概ね米国にとってプラスであるとした。
「忍耐強く」という今回新たに盛り込んだ文言は、政策の柔軟性を示すものとして、歓迎する参加者が多かったという内容。方向性としては利上げ、しかし、出来る環境であれば・・・ということであって、柔軟に対応というもの。市場には、確定ではないけれど利上げの方向で準備しなさい・・・というメッセージと読める。
以前も書きましたが、FRBは現状のゼロ金利状態では政策手段がないため、利上げを欲しがっていると思う。景気循環の結果として、あるいは外生要因から米国景気がピークアウトし、下りに入ったとしても今のままでは政策手段は量的緩和策の再開しかないというのは、困った問題なのです。
結局、金市場はこれからFRBもそうであるように、発表される指標をそのたびに評価しながら進むということになる。昨日のADP民間雇用も良かったが、雇用統計ISM製造業、非製造業景況指数と同じように、いい内容ではあるものの、比較の問題で見劣りするということになるのではないだろうか。