2月3日のNY市場の金価格は、前日比20.90ドル高の1353.00ドルで通常の取引(フロア)を終了。約2週間ぶりの高値。混乱の拡大が懸念される中東情勢に加え、バーナンキFRB議長による講演およびその後の記者会見での発言内容に反応した。
取引序盤は北米を襲っている大雪の影響もあり取引も少なく静かな展開。お昼前にエジプトで反政府派と大統領支持派の対立激化やフィッチ・レーティングがエジプトの格下げを発表したことが伝わり急反発となった。ファンドの大口ショート・カバー(売り建て玉の買い戻し)が入ったと見られるが、中東、アジア筋からのまとまった買いが入り、急騰のきっかけを作ったとの話がある。
その後、この日予定されていたバーナンキFRB議長の講演と政策説明を目的とした記者会見での発言が金市場の材料となった。同議長は、足元で実施されている量的緩和策(QEⅡ)の効果が表れていること、また順調な景気回復が見られるなかでも現下の政策(QEⅡ)は予定通り進めることを明言したが、それに金価格は反応。というのも、このところの好調な米国景気指標の回復のなかで、量的緩和策の後退観測が広がりつつあり、金市場では売りの背景の一つとなっていたからだ。発言内容はこの日の急騰の後押しとなった。
実は今回のバーナンキ議長の発言の骨子は以前と何ら変わっていない。
それは、“米国景気の回復は見られている(そしてここにきて加速する様相が見られる)。しかし、それでもFRBが想定している水準には不十分”、というもの。その水準とは、安定的に雇用拡大につながり、一定の景気拡大を映した物価の上昇(インフレ率)とFRBが認めている水準を指す。インフレ率では1.5~2.0%ほど、失業率は6%以下と見られる。講演で同議長は「失業率が通常の水準まで低下するには数年かかる」と話したと伝えられているが、この点も1月初旬のラジオにて同様の発言をしていた。当方は、ここまで一貫して「バーナンキはとことんやる」と主張してきたが、いまもその流れの中にあることが確認されたと捉えている。
日本時間今夜のNY市場の注目材料は、言うまでもなく1月の雇用統計となる。失業率は前回よりも上がると見られているが、果たしてどうなるか。早くも立春。