亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

インフレ高止まり懸念で米株安止まらず

2022年05月12日 22時53分23秒 | 金市場

昨日発表の4月の米CPI(消費者物価指数)。総合指数は8カ月ぶりの前月比鈍化となったものの、予想の8.1%に対し8.3%と上回ったこと。さらに食品とエネルギーを除いたコア指数については、前月比の数値が前月の0.3%上昇から0.6%に加速していたことから、一部ではインフレのピークアウトが指摘されたものの、高止まりでしつこいインフレが続くとの警戒感にかき消されることになった。

米国での今回のインフレは昨年後半から今年に入り一気に水準を切り上げたスピード感に特徴がある。それゆえFRBが大慌てで火消しに回っているわけだが、その消防隊の消化能力を火勢(インフレ圧力)が上回るのではとの議論が日ごと高まり、過去最大規模の体制を汲み消火活動に入っている。この点は22年3月に至るまで薪をくべ続け、煽りに煽っていただけに火勢のモメンタムもかなりのもので、分野によっては鎮火したと見せかけ再び燃え上がったりというものまである。このままでは消化能力字体を疑われるのではとの懸念を口にするメンバーは、やり過ぎるくらいやればいいという。

急激なインフレの高まりにFRBが慌てて対応することは、これすなわちどう言おうと後手に回っていたわけで、政策進行の流れはそれを認めることを表す。いまや、どこまでやるつもりなのかという点で、株式市場を中心に見通しが立てられなくなり、急速に撤退が始まっている。これまでは早期鎮火の望みを抱いていた人々も、ここにきて諦めムードなのか撤退の流れに押し切られつつある状況に見受けられる。

金市場の方は、1850ドルを挟んだ値動きに移行しているが、ドル指数の動きがどの時点で一服するのか、あるいは振り切れるのかと見極めようとしている。今夜は急速にドル円が下げているが、これが対ユーロで起きるとドル指数の低下が目立つようになる。ドイツの景況指数が悪いなりに快方を示す結果になったりしていたが、ここまでもっぱら中銀間の政策の温度差や欧州が戦場になっていることから売られていたが、下げ止まりの動きが見えるとNY金も落ち着くと思う。足元は、米国株の下げがどこまで続くかという点が見もの。

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