亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

変異種拡大の誤算、金は一転反発

2021年03月25日 21時15分27秒 | 金市場
前日に10ドルほど水準を切り下げた金だが、24日の取引でドル高を苦にせず反発となった。一般的に金を語る際に「ドル」というと、ICEフューチャーズに上場されているドル指数(DXY)を指す。個別通貨に対してのドルの強弱は言うまでもなくドル円、ユーロドルなどと表記する。そのDXYが24日は、年初来高値を更新し一時92.61と4カ月ぶりの水準まで買われた。年始から3月初めまでならば、ドル裁定でファンド(CTA)のアルゴリズムの売りが出て金は値下がりというパターンだが、上値は抑えられたものの、前日比8.10ドル高で終了となった。NY金の終値(清算値)は1733.20ドルということに。前日は、ドル高で売られていた。

2月に入って以降、3月1週目の1700ドル割れに至ったのは、内部要因からはNY期先物と金ETFの解約売りが断続的に出されたことを、ここでも触れた。思うのは、その売りがやはり一巡していると見られること。とりわけNY金先物市場でのロングの手仕舞いが一巡していることから、足元のドル高でも売りが出にくくなっている可能性だ。雪崩に例えるならば、値下がり率は拡大したものの、構造としては表層雪崩が起きたわけで、NY金先物もETFもコアのポジション保持者は滞留していると思われる。このあたりは、3月11日にスタートした無料のポッドキャスト、Spotifyなどの音声発信「亀井幸一郎のゴールド・ボイス」にて、初日の11日に語ったところでもある。先週19日更新分でもFOMCに関連して、再び取り上げたので興味ある方は音声バージョンで。次の更新は29日月曜日の予定。

こう書いているうちに、足元のDXYは92.70まで上昇しさらに直近の高値更新に。背景にはユーロドルの低下がある。変異ウイルスが広がり、想定外のロックダウンにイタリア、フランスが踏み切ったところにドイツがロックダウンの期間の延長を発表。ドイツの場合、4月初めのイースター(復活祭)に焦点を当てた強力な活動制限を発表し、世界的に注目されたのが、23日。メルケル首相は翌24日、これを撤回。記者会見にて自らの誤りとして謝罪するという予想外の展開に。ただし、4月最初の週末にガソリンスタンドなど一部を除き、食料品店も含めすべて閉店としたことは取りやめになったものの、4月19日までのロックダウン延長に変更はなし。食品販売を含め、すべてを閉鎖するとしたところ、事前買い出しに人々が殺到ということらしい。

24日はドイツifo研究所が2021年のGDP成長率をコロナ再拡大を理由に前年比3.7%成長に下方修正を発表。昨年12月時点では、4.2%成長を読んでいた。コロナ危機の長期化が回復を遅らせているとしている。ドイツは中国との関係から、中国の立ち直りとともに欧州の中でも回復が早かったところ。ちなみにユーロドルは年初来安値を更新。コロナ関連では、
英国政府は、イングランドからの理由なき外国旅行に罰金5000ポンド(約74万円)を課す法案を今週中に採決し、来週から適用すると発表している。

新型コロナ変異種の広がりから、各国政府は想定外の対応を迫られている。経済はもとより財政面での負担が増すことで引き起こされる事態への懸念が、高まっている印象。われらが日本も他人事ではない。今夜のNY金は、通常取引入り前だが、さすがにDXYに上値を抑えられている。長期金利が落ち着いたにも関わらず下げが止まらないナスダックがどうなるか。

番組名:亀井幸一郎のゴールドボイス 以下のいずれかのURLをクリック




(Spotify) https://open.spotify.com/show/1Nrli8WZ7ooqu8cWctG2gn

(Anchor) https://anchor.fm/goldstreet1/episodes/001-es9f4n


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トルコ・リラ急落と金の関係   | トップ | 方向感が生まれぬ金市場   »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事