ちょうど1年前の8月4日、NY金は初めて終値ベースで2000ドルを越えた。折しも新型コロナ第2波の感染拡大の中で長期金利が0.515%と2020年3月9日の過去最低の0.499%に次ぐ低水準となった際に、金市場にて買い圧力が高まった結果の2000ドル大台突破だった。
新型コロナ感染の拡大という点で、足元で似たような状況が生まれようとしている。言うまでもなくインド型変異種(デルタ型)の感染拡大が続き、米国でも勢いを増している。3日はNY市長がレストランなど屋内施設を利用する顧客や従業員にワクチン接種の証明を義務づける方針を発表した。中国でも湖北省武漢市でデルタ型の感染が認められ、全市民にPCR検査を実施すると伝えられるなど、世界景気の回復が鈍化しかねないとの見方が債券買いにつながり、米長期金利は1.2%割れに低下。実質金利もマイナス1.1%台で過去最低レベルにある。この1年、新型コロナ感染拡大の波が来るたびに、企業の景況感や市場セントメントは悪化を繰り返してきた。
その中で足元のNY金は、方向感がとれず1800ドル近辺の非常に狭いレンジでの取引に始終している。秋以降の雇用者数の加速を読むのがFRBのコンセンサスとなっているが、一般的な環境からは、そろそろNFP(非農業部門雇用者数)の上振れが起きても不思議ではないタイミングだけに、今週発表の7月のデータは確かに予想値を上振れる可能性がありそうだ。
3日のNY金市場が終日売りが先行する流れとなったのは、おそらく雇用の上振れを織り込む形で、(規模はたいしたことはないものの)売りに回るファンドが出たのだろう。思うのは、7月のデータはまだしも9月以降に発表される8月分以降にFRBの関心、したがって市場の関心が注がれるが、そこにデルタ株がどう影響するかが問題となる。厄介なのは言うまでもなくワクチン未接種者への感染拡大だが、それ以上に接種済みの人々の間でのブレイクスルー感染の広がりにある。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁はブログで、雇用が思ったように増えない要因として3点を挙げた。まず、感染拡大の影響で学校の再開が遅れ、一部オンライン授業が続いているため、女性の雇用復帰が遅れていること。2つ目が人々の新型コロナ感染への脅威が根強いこと、次に連邦政府による失業者特別優遇措置とした。最後の失業保険の特別給付は7月までに半数の週で制度は終了し、9月6日ですべて終了となる。7月のNFPの加速を読む一つの根拠でもある。ただし、前の2つの要因は、デルタ株による影響を受けることによる。
そもそもこれら3点は、この先も長く続くものではないとの認識が今のところされているのだが、それもデルタ株の状況次第で終息見通しの誤算につながる可能性が出てくる。つまり今週発表のNFPが上振れとなっても、やはり1カ月後の結果を見ない事には見通しは立てにくいということだろう。
NFP増加数の市場予想は88万人増となっている。本日は米国でADP全米民間雇用報告が発表される。労働省発表のNFPの動向から時に離れることがあるが、一応傾向を見る上で参考値となっているもの。
新型コロナ感染の拡大という点で、足元で似たような状況が生まれようとしている。言うまでもなくインド型変異種(デルタ型)の感染拡大が続き、米国でも勢いを増している。3日はNY市長がレストランなど屋内施設を利用する顧客や従業員にワクチン接種の証明を義務づける方針を発表した。中国でも湖北省武漢市でデルタ型の感染が認められ、全市民にPCR検査を実施すると伝えられるなど、世界景気の回復が鈍化しかねないとの見方が債券買いにつながり、米長期金利は1.2%割れに低下。実質金利もマイナス1.1%台で過去最低レベルにある。この1年、新型コロナ感染拡大の波が来るたびに、企業の景況感や市場セントメントは悪化を繰り返してきた。
その中で足元のNY金は、方向感がとれず1800ドル近辺の非常に狭いレンジでの取引に始終している。秋以降の雇用者数の加速を読むのがFRBのコンセンサスとなっているが、一般的な環境からは、そろそろNFP(非農業部門雇用者数)の上振れが起きても不思議ではないタイミングだけに、今週発表の7月のデータは確かに予想値を上振れる可能性がありそうだ。
3日のNY金市場が終日売りが先行する流れとなったのは、おそらく雇用の上振れを織り込む形で、(規模はたいしたことはないものの)売りに回るファンドが出たのだろう。思うのは、7月のデータはまだしも9月以降に発表される8月分以降にFRBの関心、したがって市場の関心が注がれるが、そこにデルタ株がどう影響するかが問題となる。厄介なのは言うまでもなくワクチン未接種者への感染拡大だが、それ以上に接種済みの人々の間でのブレイクスルー感染の広がりにある。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁はブログで、雇用が思ったように増えない要因として3点を挙げた。まず、感染拡大の影響で学校の再開が遅れ、一部オンライン授業が続いているため、女性の雇用復帰が遅れていること。2つ目が人々の新型コロナ感染への脅威が根強いこと、次に連邦政府による失業者特別優遇措置とした。最後の失業保険の特別給付は7月までに半数の週で制度は終了し、9月6日ですべて終了となる。7月のNFPの加速を読む一つの根拠でもある。ただし、前の2つの要因は、デルタ株による影響を受けることによる。
そもそもこれら3点は、この先も長く続くものではないとの認識が今のところされているのだが、それもデルタ株の状況次第で終息見通しの誤算につながる可能性が出てくる。つまり今週発表のNFPが上振れとなっても、やはり1カ月後の結果を見ない事には見通しは立てにくいということだろう。
NFP増加数の市場予想は88万人増となっている。本日は米国でADP全米民間雇用報告が発表される。労働省発表のNFPの動向から時に離れることがあるが、一応傾向を見る上で参考値となっているもの。