亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

テーパリング決定は既定路線 

2021年08月05日 23時15分45秒 | 金市場
昨日のADP民間雇用は予想値の65~69万人の半分33万人の増加と、このデータに時にありがちな“振れ”た内容となった。緊急対応の緩和策の解除を探っているFRBにとっては、雇用の伸びの鈍化は思わぬブレーキがかかったようなものだが、それは労働省のデータを見るまでは何とも言えない。結果を受けて5日のNY金は20ドルほど値が飛んだが、すぐに売り戻され、いわゆる“行って来い”状態となった。日足のチャートとしては上値での売り圧力の強さを思わせるものとなった。

上げ幅の縮小は、ISM非製造業景況指数の記録的な水準への上昇という結果よりも、同じ時間帯に流れたクラリダFRB議長の討論会での発言内容に反応したものと思われた。ちなみにクラリダ副議長は金融政策担当の理事であり、発言の影響力はパウエル議長並みといえる。いわく「利上げに必要な条件は22年末までに満たされると確信している」として、「23年に政策正常化を開始することは、こうした条件の下で、柔軟かつ新たな平均インフレ目標の枠組みと完全に一致する」とした。つまり、このままのペースでいくと23年には利上げが可能との見通しを示したわけだ。当然、パウエル議長も共有する見通しと思われるが、昨日も書いたように理事間での意見の割れが浮上しており、議長自身があと半年の任期となっていることもあり、意見の取りまとめがうまく行っていないということか。

先週末にブレイナードFRB理事は、緩和の縮小には国内労働市場の一段の改善が必要だと指摘。「9月のデータが手に入れば進展の程度をもっと自信をもって評価できる」とした。そうなると、6週間に1度のスケジュールのFOMCゆえに、どんなに早くとも11月初めの会合まで決定は見ないことになる。一方、先週はウォラー理事が、向こう2回分の雇用統計で自身の予想通りに雇用がそれぞれ80万─100万人増加すれば、FRBは10月までに量的緩和措の縮小に着手する可能性があると発言し、ちょっとしたサプライズとなった。

そもそも未だ680万人がコロナ前との比較で職を失った状態にあり、これらの数字が「著しく改善」することが、緩和策(経済支援策)解除の条件というのが、これまでパウエル議長が延べてきたところなので、異なった見通しが増えると市場もこの先迷うことになるのだろう。

ただ7月のFOMCを経て、テーパリング実施は規定路線となっており、後はタイミングの問題につき「著しく」の条件が個々で異なるのだろうが、12月には決定という方向で収れんするものと思われる。

現在のような段階で2013年は先物市場やETFに大量の売りが続き、大きく値を消した金だが、やはり当時とは通貨供給の規模が大きく異なることが価格のサポート要因になっていると思われる。目先は6日発表の雇用者数の行方が方向を決めることに変わりはないが。。。

話は変わるが、新型コロナ感染者激増、いよいよ切迫感の伴う状況になりそうな雲行きだ。

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