亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

リバランスよりもむしろリアロケーション

2012年01月11日 23時40分45秒 | 金市場

ドル建て金価格は10日の取引で一時1641.40ドルの約4週間ぶりの高値を記録、200日移動平均線も引け値ベースでもクリア。ショートカバー(売り建て取引の買戻し)に弾みがついた。本日はアジアの初期段階で利益確定の売りが出たものの、売り一巡後は切り替えし一時1649ドルの戻り高値更新。その後はユーロ安の中でこの時間は1640ドル近辺で一進一退状態。

 

昨日は格付け会社フィッチ・レーティングスが現状では年内にフランスの格下げの可能性が低いとしたことが、ユーロ買いとともにファンドの買いを促したとされる。フランスの格下げが、欧州金融安定化基金の発行債券(現在AAA)の格下げにつながる可能性があるため、そうなるとユーロ圏正常化プログラムが根底から見直しを迫られることになる。したがって年始以降のいわば“凪(なぎ)”状態の市場環境でも金市場では神経質な展開が続いてきた。つまり、いまだ「金≒リスク商品」という流れから抜け出せていない。そうした環境ゆえ、フィッチの話は好感されたわけだ。

 

しかし・・・・・である。そもそもフランスの格下げ見通しについて具体的に検討を進めているのはフィッチではなく、同業他社のS&Pやムーディーズだったわけで、市場は今でも両社の発表を待つ状態にある。つまり環境に変化が見られたわけではない。評価すべきは、(強いて挙げれば)リスクを意識しながらも再び金市場に徐々に資金が戻り始める“兆し” が見られているという点だろう。

 

さて、明日はECB理事会だが、再び最低金利1%に面合わせの金利は据え置かれる見通しになっている。引き下げられればサプライズとなるが、この先景気後退の可能性が想定できることから、政策余地として温存されることになりそうだ、たぶん。

 

1月も早くも中旬になり再来週に予定されているFOMCを控え、本日はベージュブックが発表される。一連の明るさの感じられる指標発表が続いたので、前回よりはこちらも明るめの内容になろうか。しかし、足取りは確たるものとは言い難い。今週は連銀関係者の講演が目白押し状態になっているが、目立つのはハト派的発言になっている。

 

ところで一昨日のここで、資産の組み換えについて触れた際に「アロケーション(allocation)という言葉を使ったが、一般的に組み入れ資産の構成比率の見直しだけならば、re-balancing(リバランシング)との表現となるのだが、昨年のような伝統国の国債までもがリスク資産に格落ちしたり、米国債まで格下げされる中で、資産構成の内容に踏み込んだ見直しがなされている可能性があり、したがってリ・アロケーションという表現としたもの。その中で金は残るでしょうということ。日本でも「資産株」の筆頭だった東京電力が奈落に落ちる環境激変ゆえに運用の前提すら見直しが必要というわけだ。

 

明日の早朝、東京はこの冬一番の冷え込みの予想とのこと。いよいよ冬本番。夏の暑さと冬の寒さと二者択一ならば、あなたはどちらを選びますか?

 


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2 コメント

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冬に一票 (fairlane)
2012-01-12 01:46:04
私は冬の寒さを取りますなぁ。当方、自前のミートテックを多くまとっている故、寒さには適応出来ますが、脱ぐことが出来ないので暑いのは勘弁願いたいです。
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シラー教授:米国債市場は「バブル」 (アルピーヌ)
2012-01-12 06:30:18
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXN3AP1A74E901.html

ユーロ建て原油価格 2007年高値水準
短期独国債もマイナス金利
身動きが取れません。。。
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