金価格が1650ドルを超え、戻り高値の更新に入っている。欧米メディアでも昨年9月以降の「リスク資産」として金を見る動きから、金本来の「ヘッジ手段」として金をとらえる動きが復活しつつあるという指摘が広がっている。昨年9月の急落で自信を失った金市場での信頼回復の妙薬はやはり価格の上昇ということになりそうだ。実際にファンドの買いは戻りつつある。しかし、いまだ「cautiously bullish(用心しながらの強気)」という段階で、疑いの中の上昇といえる。昨年ひび割れた相場ゆえに、復活の歩みもこういうことだろう。市場の関心は、200日移動平均線を越えた今、この動きでどこまで値を戻すことができるかという一点にある。
ところでファンドの動きがここにきて高まっている背景のひとつに旧正月(春節)に向けて予想以上に高まった中国需要の動向がある。香港から中国本土への金の輸出が、まさに激増しているのだ。9月は54トン、10月は86トンさらに昨日判明した11月は103トン(いずれもコンマ以下四捨五入)と過去最高を更新している。もちろんこれとて過去の数字に過ぎず必ずしも足元1月はどうなっているのかとは別の話ではある。それでも、ちょうど為替要因でインドの需要が頭打ちから下がり始めているタイミングで中国の台頭が際立っているのは確かといえる。この実需の底堅さが、ここにきてファンドの金の買戻しの背中を押しているのは間違いなかろう。
しかし、今や世界最大の産金国の中国だが、それでもなおこれだけの金を国内に入れているわけだが、果たしてすべて民間部門なのか?・・・・というのが関係者の関心事といえる。