有事の金

昨日、「平和ボケ日本」などと書いたら、今朝からの騒ぎ。北朝鮮ミサイル発射問題の経過と情報分析はメディアに詳しいのでそちらを見てもらうとして、「複数のミサイルが断続的に」という部分で、これまでと状況が大きく異なり、その事実が緊迫感を高めることとなった。政府の安全保障会議をあざ笑うように午前7時以降にさらに3発という部分が、金市場と為替市場では材料になった。一般的にこの手の事件による金価格の上昇は一過性で「噴き値」売りが鉄則といえる。本日の東京工業品取引所の先物取引の価格推移もそのようになっているが、9時30分頃に6発目のミサイルが8時17分に発射されていたことを確認との報が入るや、寄り付き価格をほぼ高値にして下げていた金価格は、この知らせに反転上昇し再び本日の高値近辺まで買い戻されるという値動きになった。事件の拡がりを感じさせる経過に対し市場参加者が反応したものだが、これも直ぐに織り込まれた。後は前日比でプラス圏ではあるものの、小動きに始終し、結局これから始まる海外市場に下駄を預けることとなった。海外市場中心にＦＯＭＣ以降、金価格はリバウンド（急落からの自律的な戻り）相場に入っているため、休み明けのＮＹも基調としては強含みで推移すると思われる。

事件の発生により日本経済の根幹が揺さぶられるということが無い限り、金融市場への影響は軽微、というより全くなく、その分、価格に乗った思惑部分から剥がれ落ちることになる。事件事故による突飛高が短命に終わる背景でもある。「有事の金」は意外と短命ということ。「有事」「有事」というが、その中身、程度が問われるということ。

それにしても（百歩譲って）北朝鮮の示威行為が米独立記念日やスペースシャトル「ディスカバリー号」の打ち上げに合わせるという狙いは分からないでもないが、同時進行した韓国調査船による日本の排他的経済水域内での活動は何だ。行動が確認されたのが６時４１分頃だったと思う。ならば北朝鮮がかかる事態を引き起こしていることは十分確認できているわけで、そこを敢えて突いてきたとするならば日本の混乱に乗じてということなのか。官房長官の記者会見の後の記者氏の質問のひとつに、韓国の行為は北朝鮮と示し合わせたものなのか？という主旨のものがあったように聞こえたが、そう言いたくなるよね。