週明けのNY市場は原油をはじめ前週に投機的な買いも交え高騰した産業用メタルほかコモディティ全般が売られた。本日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、参加メンバーによる金利見通し(ドットチャート)でタカ派寄りの予想が示されるとの見方から、米長期金利が2年9カ月ぶりの水準となる2.147%まで上昇。この長期金利急騰は金市場ではファンドの売りにつながった。
この3週間余りの出来事からも、インフレの加速は避けられないとみられるが、原油相場がここにきて急落していることを手掛かりとした、ファンドのロボット・トレード(コンピューターによるアルゴリズムの売り)が金売りを促しているとみられる。
ここにきて金価格への影響という点で原油の存在感を増している。
米国産原油WTIとNY金の間には、一般に思われているほど相関性はない。オイルショックで知られる1970年代や80年代は、相応の相関性があったが、原油上昇が物価上昇に直結していたかつての時代ほどインフレの押し上げ要因ではなくなったのが背景といえる。“世界経済は油の上に乗っている”と表現された時代は終わり、その後の省エネや代替エネルギーの開発で、原油価格の経済への影響は相対的に小さくなった。
ところが足元の状況は様相を変えている。ベースにあるのが、新型コロナ禍がもたらしたサプライチェーン問題と活動制限で抑えつけられていた需要(pent-up demand)の(モノに偏った)急増がつくり出したインフレの高まりだ。 そこに労働市場の側面から想定外が加わる。新型コロナ禍を経て働き手の意識が変わり、いったん仕事を離れた人々が労働市場に復帰しないという状況が生まれている。人手不足の中で需要の広がりが(新型コロナ感染の沈静化とともに)サービスにも及ぶにつれて、人件費がインフレ押し上げ要因として存在感を高めている。さらに調達コストの上昇を(PPI)、個人消費がしっかりしている米国では、企業は製品価格に転嫁する。消費が、それに耐えられているからFRBも利上げに向かえるのだが、これがさらにインフレを押し上げる。そこにウクライナ戦争という、新たな要因が加わった。
原油のここまでの上昇に際し、脱炭素でこの数年石油関係の設備投資が減って増産余地は少ないとの説が流れているが、それは株から原油やエネルギーに乗り換えた資本が流しているのだと思っている。サウジなど増産余力があるのに何の動きも取らないのは何だかなぁ・・というふうに思う。どう判断するかはお任せするが、いずれにしても特異な環境下で原油の経済への影響力は高まり(日本など単月だが経常収支が赤字になった)、連動しなかった金の反応を呼び覚ました。・・・というか、そのようにロボットが売買している。
それにしても米債金利(利回り)の急騰が目立つが、これはウクライナ危機で株から移った資金が、一気に巻き戻されている(unwind)されてのものだろう。
というのも、クリミア危機でこれだけの経済制裁をするからには米国のみならず世界全体に影響が及ぶことから、さすがにFRBも考慮せぬわけには行くまい・・・と思っていたら、2月の議会証言にてパウエル議長は、(50でなく)25bp(0.25%)の利上げを「支持する」と発言。その後、ウクライナの危機は深まり、米債は買われ先週は一時1.7%割れまで見ていた。それが昨日は、2.144%。本日はここまで一時2.166%まで見ている。理由はFRBがやはりタカ派色を鮮明にしそうだということで、先週まで買っていた向きが投げているのではないかと思う。
この急騰は、原油の急落と合いまりNY金の下げにつながっている。
何のことはない、FOMC前に売られる金が形になりつつある。 そういえば昨日は米7年債と10年債の利回りが逆転(逆イールド)している。 まもなく米生産者物価指数(PPI)の発表される。 昨日は1950割れがあれば、1900ドルもと書いたが、NY金の1900割れは、ありやなしや。。。。
今夜は長くなったが、決して暇でなく、他にやらねばならぬことが多いけど、一種の逃避だと思います。昨日ワクチン3回目打ったが、初回ほどには腕は痛くならず。しかし、何気に普段はない肩が凝ったりする・・・気のせいでしょう。