先週は11日金曜日にこのブログを書いている途中で急にNY金が下げ足を速めたので調べると、ウクライナ停戦交渉進展か・・というニュースに反応したもののようだった、
「と、ここまで書いたところで、ウクライナとロシアの交渉で進展が見られるのではとの話が伝わったとかで、米株先物が上昇する一方でNY金の下げが目立ち1970ドル台まで落ちている。米長期金利は2.025%と1カ月ぶりの水準まで上昇している。金はどこまで押すか。とはいえウクライナ情報は双方の思惑含みで正確性に欠くので要注意ではある。」と書いた。
ウクライナ戦争の沈静化は、取引対象を問わず広く市場参加者の願うところだが、この日はロンドン午前にプーチン大統領がベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で、ウクライナとの交渉は実質的に毎日行われており、「交渉担当者からの報告では、一定の前向きな変化がある」と述べたと伝わった。ロイターが報じたものだが、このニュースに米国株はNY時間外の先物価格が上昇で反応。実際にNYの時間帯に入り(通常取引の)株価は上昇して寄り付いた。ダウ30種は一時、前日比341ドル高まで上昇した。この同じ時間帯にリスク回避で買われていた金は、逆に売られる展開で1960.60ドルまで売り込まれた。その後反転し結局、この価格が先週の安値となった。
しかしこの時生まれた停戦期待は間もなく霧消することになる。
ロシア軍の攻撃はむしろ拡大していると伝えられたことによる。戦闘地域から離れていたウクライナ西部の都市が攻撃を受けたと報じられ、実際に西部ルツクなど空港がある複数の場所(ウクライナ軍施設)に空爆が実行され、こう着が伝えられるキエフ侵攻を後押しするロシア軍の新たな動きが取られていると伝わった。
市場センチメントは暗転し、株式市場は失速する形でマイナス圏に入り終盤に下げ幅を拡大し、ダウ30種は299ドル安とほぼ安値引けで終了。他の主要指数も同様の展開だった。一転してリスクオフに切り替わった市場環境の下で、終盤に金は下げ幅を縮小して週末の時間外取引は1992.30ドルで終了となった。
それにしても思うのは、プーチンのロシア政府内での孤立ということ。金曜日に流れた、「交渉担当者からの報告では、一定の前向きな変化がある」としたプーチン発言を伝えたロイター報道に間違いはないのだろう。取り巻きが怒りに触れないようイエスマンばかりになって、結局、風通しが悪くなり、その結果情報面で孤立を深めていることを表したニュースではないかと思った次第。2月だったが何かのニュースでプーチンを見ていて、「裸の王様」だわ、、、と思った次第。
今週は言うまでもなくFOMC(連邦公開市場委員会)にてFRBは利上げサイクルのスタートを切ることになる。今年の1月28日にエピソード#036(第36回)として、「利上げ前に売られる金」と題して話したことがある(YouTubeにもあり、最後の4分くらいから)。ウクライナ情勢が一気に悪化し歴史的問題に発展したことで、市場の動きも変わってしまったものの、いよいよFOMCを前に下押す局面が現れるのかもしれない。変動率も上がっており、1950ドルの節目割れで1900ドル程度まで押しても不思議はないと思われるので、どのように展開するのか見ようと思っている。もちろん参考意見につき、投資に際しての判断は御自身にて。 なお、本日から米国は夏時間。経済指標の発表は日本時間では1時間早まることになります。
先週末3月11日(金)更新のポッドキャスト
#042 「円建て金過去最高値、NY金2000ドル突破のポイント」
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