亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

一筋縄ではいかないのだ

2012年03月27日 23時29分08秒 | 金市場
昨夜の講演会でのバーナンキ発言にしても、緩和環境の継続の必要性は語ったが追加緩和(いわゆるQEⅢ)について何も触れていない。それでも置かれた環境によって、受け取る方のセンチメント(心理状態)次第という感じ。デフレに対して慎重すぎるほど慎重な議長ゆえに、今後も緩和策の御旗はなかなか下ろしはしないということ。

金価格も昨夜の上げでさすがに200日移動平均を上回ってきたが、このところの乱高下その他で1700ドル前後には移動平均線が複数交錯しており、テクニカルもいいとこ取りの様相。26日に関しては、ETFが6トン強増えたのが目立った。ネット・ロングがこのところの最低水準まで落ちたとは昨日も書いたが、ショートが増えてという側面もあるので、昨夜のバーナンキ発言に反応しての動きは、まずはその買戻しつまりショートカバーが初動を作ったと見られる。

このところ日経本紙でも市場の心理の“振れ” について特集を組んでいたが、投資家心理といっても例えばアメリカでも個人はこの上げでも本格的に株には資金をシフトしていないというニュースがあった。だから出来高も高まらないと。VIX指数だ行動心理学だといっても、どの投資主体が経験則に則った行動を取ってくれるのかということ自体が流動的で、今の金市場のように大きな値動きを主導するのがアルゴリズム取引のプログラムだったりするので、アルゴどおしの読み合いという図式があったりするのだろう。一筋縄ではいかないのだ。もともと移ろいやすいのがセンチメントだが。

ところでバーナンキ議長の発言に注目が当たったが、他にも注目のニュースがあった。それはメルケル独首相が暫定的な基金の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)と恒久的な基金である欧州安定化メカニズ(ESM)を並行して機能させる案を支持する方向を示したこと。ギリシャ危機などがポルトガルやスペインに延焼するのを防ぐ「防火壁(ファイアーウォール)」の強化策の有力案だが、これまでドイツは否定的な態度を示していた。今週30日に開かれるユーロ圏財務相会合でドイツが支持に回ると安全網(セーフティ・ネット)の強化につながり、市場の安定にはプラスとなるもの。どのみち4月は、市場もいろいろ騒がしくなりそうだ。

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1 コメント

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Unknown (fairlane)
2012-03-29 00:15:10
アルゴリズム取引が市場を席巻すると言うのは、将棋ソフトウエアが米長名人を負かしてしまうようなもんでしょうね。

それじゃ面白くない だからそういうところには参加しない と言う心理もありそうで。

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