さて日本時間の今夜結果が判明するECB理事会。オランド大統領の発言といい、昨日はウォール・ストリート・ジャーナル(Web版)を手始めに、Bloomberg に FTにと、いつになく理事会を前に、リークとも言える観測報道が流れている。ドイツ包囲を目的とした新手のドラギ・マジックなのかとも思ったりする。
ポイントは、QEの内容が骨抜きになるのか、ならないのか。また、ポジティブな印象を市場に与えられるのか否か。後は、かなり為替や債券相場などでは織り込まれていると見られるので、材料出尽くし感はどうか。政策を有効なものにするのに、この辺りも難しそうだ。
昨日報じられたのは、概ね量的緩和策の金額規模については同じで、期間も少なくとも1年は共通で、2年というのが最長だったと思う。市場は、量的緩和策の対象に社債やその他も含まれるのか否かを気にしているようだが、そもそも政策実行のルートや方法でドイツなどとどう折り合いをつけるのだろうか。
例えばギリシャ、キプロス債を外すのか入れるのか?仮にギリシャ債をギリシャ中銀が買い取ることになったとしても、その資金はECBが出すことになるので、実質的にはECBが買い取ったことになるのではないか。一方で、かなり細かな買付け要項のようなものを発表するとの見方もある。
OECDのグリアとかいう事務総長が、21日から始まったダボス会議で、「ECBは無制限の政府債買い入れを実施すべき」と発言したというニュースがあった。かつて「ユーロを守るためには何でもやる」と発言し債務比率の高いイタリア、スペインなどの国債の下落を口先で止めた実績のあるドラギ総裁としては、確かにそれくらいのことはやりたいのかもしれない。これは、サプライズとなるので、市場へのインパクトは大きいだろう。しかし、ドイツのスタンスを考えると、かなりハードルは高く、むしろ逆に妥協案でお茶を濁すことになったと市場に判断されると今夜は波乱となりそうだ。
ここまでの金市場は、荒れる可能性をヘッジした資金の流入でサポートされているのだが、市場に安心感が広がると目先の調整は避けられなくなる。ただし、ギリシャがこの後に控える。