これから週末にかけてECB理事会にギリシャ総選挙という不透明要因を控え、「質への逃避」の資金移動が続いている金市場。まずECBの量的緩和策の導入と金市場の関係は、以前であれば量的緩和策の導入は、そのままユーロドルの下げ、すなわちドルの上昇を予見させることで金の売り材料となったもの。それがユーロが売られる(ドル高)中で金の上昇につながっているのは、これからのユーロ圏の金融政策が機能するか否かが試されるというFatalな要素が隠れていることによるのだろう。
これは、今回の量的緩和策の内容、方法論にも関わることで、まずは(ドイツなどの言い分を考慮した結果)中途半端と市場が判断するようなものになったとすると、株式市場を始め荒れることになりそうだ。そもそも市場の反応に縛られることのないのが中銀の金融政策だが、本日の時点で債券市場自体が政策を織り込み済みとなっており、この先をどうするのだろうという感じ。何もしないわけには行かないのが、“期待に働きかける”政策の真骨頂ということか。中央銀行も難しい局面に追い込まれたものだ。。だからこそ、金を買う動きが続いている。
そもそも量的緩和策(QE)が、実体経済に対して効果ありやなしやについては、FRB内部でも意見が分かれているわけで、今回ECBが導入したとして効果の有無が判明するには、時間が掛かろう。それにしても、伝えられるところでは資金の出し手がECBであるにもかかわらず、買付けは傘下の各国中銀に振ることでリスクの所在は個別中銀に回すという妥協策が有力という。そんなことで“期待”が削がれては、元も子もなかろうに。それは杞憂か。