亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「底堅さ」の背景「売れないゴールド」

2024年02月06日 21時42分33秒 | 金市場

今週のNY市場は、主要な経済指標の発表はほとんどなく、日々の注目点は連日予定が組まれているFRB高官のメディアインタビューやTV出演、講演会となっている。

FRB関係者の発言内容といっても、一般的にさほど突飛な事を言うわけではないので、多くは似たようなものになると思われる。つまり、今週は米国関連では手掛かり難の週といえる。ゴールドに関しては米国内要因以外に中東情勢など地政学リスクなども関心事になるので、その動きも気を配る必要があるが、それでも結局、米長期金利やドル指数の動きに影響を受けることになりそうだ。

 

その数少ない経済指標が5日早朝に発表された米ISM(サプライマネジメント協会)が1月のサービス業景況指数だった。

結果は指数自体が市場予想を上回ったうえ、特に雇用や企業の支払う価格の指数が強かったことで、FRBの早期利下げの後退のみならず、利下げ幅も縮小する(利下げ回数の減少)との見方も台頭し米債市場では売りが広がった。

米10年債利回りは、大きく続落。一時4.178%までつけて4.162%で終了。FRBの金融政策の方向性を反映することで知られる2年債は一時4.495%まで付け4.474%で終了。24年に入りもっとも高い水準で取引を終了した。市場では3月利上げ観測が10%台の確立まで低下している。 この米金利の上昇にドルが強含み、ユーロドルは一時1.0721ドルと昨年11月14日以来の安値に低下。終盤は1.0742ドルだった。ドル円相場も昨年11月27日以来の安値148.90円まで低下し、148.68円で終了。ドル指数は104.452で終了したが、昨年11月10日以来の高水準となる。

米長期金利の上昇(債券価格の値下がり率)よりもドル指数の上昇率が高くなっている。

 

こうした中でNY金は、現地前日4日の夜の食事時に流れた人気番組「60ミニッツ」に登場したパウエルFRB議長が、平易な言葉で経済の現況を説明。そして先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見と同様に、3月会合時点でインフレ抑制に確信を持って利下げを開始できる可能性は低いとの考えを示したことから、改めて売りを呼び込む形で、5日のアジア午前からロンドンさらにNY早朝まで20ドルほど水準を切り下げた。結局、ISMサービスも加わったものの、前週末比10.80ドル安の2042.90ドルで終了ということに。

下げが10ドル程度で収まっているのは、むしろ底堅さを感じさせる展開と言える。

足元で目立った買いもないが、さりとてゴールドを敢えて売ることにも(先行きの金融経済、政治を考えると)リスクを感じ、売れないという状況にみえる。

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