今週は週初に注目の中国の7-9月期GDPが前年同期比プラス6.9%で終わったことが判明したものの市場の納得感薄く、いわばモヤモヤが残る状況が続いている。折しも習近平主席が英国訪問中で、先日取り上げたように経済を前面に押し立てたキャメロン政権の対応で、大きく中英関係が接近という流れ。11月には、中国人民元の国際通貨基金(IMF)が設定する人工通貨「SDR」の価値形成通貨としてドル、ユーロ、ポンド、円に加え中国人民元を加えるか否かの判断がされる予定となっている。人民元取引をシティに取り込みたい英国は当然賛成にまわると見られ、どのような結果になるか。状況によっては為替市場や株式市場に大きな動きが出そうだ。
人民元の国際化に関して金市場の関連では、7月に中国人民銀行が保有金の概要を公表して以降毎月その状況の公開を始めている。先週末の発表では7、8、9月と合計で50トン程増え1708.5トンとなっている。外貨準備として保有している米国債の一部を金にしていると見られるが、今後も継続的に増やす方針のようだ。この夏以降、香港経由の金輸入量も毎月50トンを超えるペースで続いており、スイスからの香港、中国への金輸出が増えているとの話も伝わっている。これも人民元の国際化の一環とみられ、中国は金市場でもさらに存在感を増しそうだ。
ところで欧州に急接近している中国だが、一方で米軍が艦船あるいは航空機の南シナ海への派遣を決めたというニュースがあった。国際法で領海とされる南シナ海で中国が埋め立てで作った人工島を認めない方針を、近くを米軍が航行することで示すというもの。このニュースが本当で実行されるなら、米中関係が緊張する可能性が出てくる。