亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

円は刷れても、刷れないゴールド(金)

2013年04月05日 21時40分33秒 | 金市場
報じられているように日本銀行は、新執行部の下で初めての金融政策決定会合を開き、黒田総裁自身が量的にも質的にも「異次元の政策」と呼ぶ政策を発表。マネタリーベース(日銀が市場に流すお金の量)を2年で過去最大規模の130兆円分増やし、2倍の規模にするというのが骨子となっている。想像を超える規模のカネのばら撒きで、(消費をそしてビジネスを回し閉塞感を打ち破り)インフレ期待を盛り上げようというもの。これまで日銀が決めていた国債購入の限度まで一時的に取り払うという徹底ぶりとなった。いわば黒田総裁は、日本版ベン・バーナンキというわけだ。向こうは、リートやETFは買わないが、国債の買いに掛けては大先輩。

しかし、小出しにしてはだめで、やれることは全て掲げてみました!・・・というのも90年代の日銀を反面教師にしたFRBの言いぐさだったはず。米国景気が(FRBとしてはペースの遅いのが不満なんだが)着実に回復している中で、いまだフルスロットルのばら撒きを続けながら、インフレもバブルも起きていないから、日本も大丈夫だろう、大丈夫じゃないか、きっと大丈夫だよ・・・・・・なぁ、みんな、そう思うだろ?言い切ることのできない海図のない航海。

もちろん総裁は、このような不安の素振りすら見せることは許されない。自信をみなぎらせ、泰然とした表情でバブルではない!何か起きても対処できる!と言い切る必要がある・・・・というのが1930年代のルーズベルト政権下の対応策を分析した結果のバーナンキ議長の結論。意思決定権者のリーダーシップが実際の政策内容よりも大事だとのレポートを残している。「期待」に訴えかけるならば、なおさらということ。その視点で見渡してみれば、ドラギ総裁もそうだし、もちろんバーナンキ議長自身みな同じスタンスを取っているのがわかろう。節々で皆、印象的な発言を残している。

それにしても2年で130兆円ばら撒くと聞いて、仕事柄すぐに「金は世界中の鉱山会社がどんなにがんばっても2800トンしか掘れない。時価にして14兆円程度」というふうに考える。

「金は実物資産であり、お札のように、刷れないもの。その相対的価値は、否が応でも増すばかりといえる。ただし、そのことに市場が気付くには時間が必要だ。インフレなり新たな資産バブルと目されるものの発生が、“気付き”を促すと思われる」・・・・これは先週ある媒体に書いた原稿の抜粋。

こう書き進んでいるうちに気が付けば、雇用統計発表の時間になった。さて。。。。

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