亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

一皮むけば不安定極まりない世界

2015年08月24日 20時55分48秒 | 金市場

先週末21日に個別のレターにて「本日午前の中国のPMIは、国内証券などを中心に上振れを予想する強気の見方も見られましたが、結果は、かなり弱いもの。尾を引きそうですね」とした。ところが、尾を引くどころかNY株市場をamplifierにして日本株を撃破し、当の上海株の下値を取り払ってしまった。こうなると不安心理が先走り、ばら撒かれたカネの氾濫および反乱状態にいたる。

経済と金融の安定を目的に大量のカネをばらまき、それは功を奏し求める安定が訪れた。ばら撒き策は必要な政策であり、やったことは正しかった。つまりバーナンキは正しかった。しかし、正しい政策が次の過ちにつながるということを繰り返してきたのが金融の歴史。いまある安定は、“船板一枚下は地獄”とまでは言わないものの、過剰流動の上での安定は、一皮むけば不安定極まりないもの。金融政策自体が心理に働きかける要素が増しているだけに、なおさら不安定さは極まることに。しかもIT化の最も進んだ分野がカネの世界ゆえに、いまやクリックひとつで瞬時に方向を変える。ボラは否が応で上がることになる。

(ここまでは、過去いろいろ話したりここでも書いたりしてきましたが)こうした環境の中で共産党一党独裁で市場を牛耳ることが内外で期待された(?)中国だが、すでにそんなステージは過去のもの。牛耳ろうとすればするほど、深みにはまり市場機能は失われ深みにはまることに。市場操作より確たる支えの政策を発表し、納得を得ることが先決かと。

それにしてもかかる環境の中で発生した天津の爆発火災事故は、中国の統治に疑問を持たせるもので、そのまま市場センチメントにも跳ね返るもの。こうしたことも歴史の綾(あや)というのだろうか。中国の統治というか、独裁制で権力者の近くにいるものが利に近いという歪みが自己崩壊したという側面も。  為替の切り下げにしても社会主義市場経済からの出口戦略は、世界中に波乱をもたらしながら進みそうだ。

さてさて、相場環境は貴金属では金のもの。プラチナ、パラジウムをさらに引き離しにかかるか。

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