先週末の雇用統計という目先のイベントを抜けた週明け月曜日のNYは、主要な経済統計の発表もなく、全般に静かな動き。
方向感を見定める材料不足は株式市場も同じ。ただし、4ヵ月連続で20万人超の雇用増に前月イレギュラーに低下した失業率はそのまま維持という結果は悪かろうはずはなく、連日の高値更新となった。NYダウは前日比18.82ドル高の1万6943.10ドルと今年9回目の更新となった。気が付けば1万7000ドルが迫っており、達成の折にはメディアで取り上げられ、果たして買われ過ぎか否かという点にフォーカスした記事を目にすることになりそうだ。S&P500種も高値更新で、こちらは今年19回目の更新。出来高を伴っていないため、いずれも熱狂感はない。
過熱感のない記録的な史上最高値更新という点で思い出すのが、2009年11月の金市場。改めて手元の資料を確認したらNYコメックス通常取引の終値ベースでこの月の20営業日中16日過去最高値更新という展開だった。
具体的には11月3日から11日まで7日間連続、1日置いて13日から25日まで(いずれも営業日)9日間連続で高値の更新を続けたが、過熱感はまったく感じられなかった。上昇には前日比0.2ドル高というものも含まれる。月初11月2日に明らかになったインド中銀の200トン購入(IMF売却分の半分を引き取った)のニュースをきっかけに1000飛び台から1100ドル台へとジリジリと這い登るように水準を切り上げ、毎日が過去最高値更新だった。
金は、そこからレンジ相場となった。その膠着状態を抜け出し次の大台替え(1300ドル台)に至るまでに10ヵ月を要したのだった。
ところで9日の市場で目を引いたのは、スペイン国債の利回り低下だった。ユーロ危機の際にはECB(欧州中銀)が(急落による利回りの急騰を防ぐために)買い支えたと見られるが、9日の取引では2.5791%となった。この日、米国債に売り物が出た関係で10年物の利回りは2.615%。つまり米国債よりスペイン国債の方が金利が低い状況が生まれている。一般的には信用力のある方が金利は低いもの。先週ECBが打ち出した(主要中銀としては)未踏のマイナス金利導入が、こうした“ひずみ”をもたらしていると言えそうだ。