金融全般がクリスマス接近の休みモードの中でユーロ圏を中心に不安定な動きが続いている。金市場のほうは発表される米国関連の指標に改善を示すものが続く一方で南欧を中心としたユーロ圏のソブリン・リスクへの警戒がドルを押し上げており、年末を控えたファンドの益出し売りが下げにつながっている。16日は米商品先物取引委員会(CFTC)が、貴金属を含む先物取引に関して建て玉(買いや売りの持ち高)規制の導入を示したことも売りの背景となった。金についてはETFの地金調達にも影響する可能性が指摘されているが問題はなかろう。
今夜は日本時間の24時に米11月景気先行指標総合指数が発表されるが、強めの数字となりそうだが、仮にそうならば金価格にはもう一段下げプレッシャーとなるか。それにしてもムーディーズが矢継ぎ早に複数の格下げやら格下げ方向の見直しやらを発表したが、それらは年明けになされると思っていたので意表を突かれたような感じだが結局、EUの背中を押すような形になった。スペインまでやばいと言われればユーロ圏の世論も欧州版IMF(ESM)創設に反対はしにくかろう。
スペインといえば、週初めにBIS(国際決済銀行)が欧州の銀行の対外融資の内訳を発表していたが、ドイツの銀行のスペイン向け融資残高は6月末時点で1816億ドルとなっていた。そのうち811億ドルは銀行向けで、744億ドルは他の一般企業向けとなっていた。それがギリシャに対しては、融資残高は368億ドルで、226億ドルは公的部門向けだった。これは結果的にはすでにECBに買い取ってもらって減らしているのだろう。いずれにしてもユーロ圏の金融は持ちつ持たれつの相互補完だったが、この5月を境に相互不信というかユーロ導入国といえども大丈夫か否かワカランということになり、その面でも“大丈夫だよ”という仕組みを確立しておく必要がある。しかし、甘い顔をするとすぐに甘える国も出るので、メルケルおばさんが睨(ニラ)みを利かせているわけだ。
それにしても大枠は合意して詳細はゆくゆく詰めようねというやり方はいつものことで、結局マーケットに追い込まれて慌てて詳細を詰めるというパターンが多いなぁ。
いずれにしても年末、クリスマス休暇前の手仕舞いモード。