亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金保有の要求が踏み切らせた?SNB(スイス中銀)のマイナス金利導入

2014年12月19日 23時41分04秒 | 金市場
昨日は、ロンドンの取引時間帯に急動意を見せた金だが、スイス中銀によるマイナス金利の導入が、買いを刺激したとされた。90年代末に大手ヘッジファンド「LTCM」の破たんにつながったロシア危機。その再来が懸念されたルーブル暴落の中で、逃避マネーの一部はスイスに向かい、対ユーロで上昇。スイス中銀は介入していたようだ。
1ユーロ=1.2フランを軸に無制限介入を行ってきたスイス中銀だが、今回は市中銀行が(預金準備率を超えて)スイス中銀に預金をする場合0.25%の手数料を取ることになった。変則的な金融緩和策であるとともにスイスフランの妙味を低下させフラン高を抑えようとするもの。

この発表が昨日の金市場の押し上げ要因とされるのだが、どうかなぁ。確かに、世界の余剰マネーが集まっているとされるスイスでのマイナス金利の採用は、金利を生まない金のデメリットが解消され資金移動が起きるというのは、わかりやすい理屈ではある。マイナス金利自体が異常事態であり、少なくともヘッジを目的とした買いも入っているのだろう。

この件に関して思うのは、スイス中銀(SNB)がそもそも無制限介入を標榜しここまでやってきて一定の効果を上げてきたにもかかわらず、代替策を講じたのは、先日の国民投票の案件のひとつになった、(介入で増え続けた)資産の20%を金で持てという要求にあるのではないかということ。介入で急拡大した中銀資産を、ここから更に増やしてということに中銀サイドで自制とでも言うべき配慮が働いたのではないか。

さて、棒下げ状態となった原油とルーブルで、痛手をこうむったヘッジファンドが多いだろうとは誰しも考えること。これだけ短期間で大きな価格変動は、レバレッジを利かせて高収益を狙っている投資家の間で損失を出したところが出るのは必定。債券運用で知られるピムコがルーブルがらみで損を出したのではとの話は伝わっていたが、金ETF保有で知られるジョン・ポールソン率いるポールソン&Coもここにきて損失を膨らませているらしい。




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