亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金には居心地のいい緩和バイアスの継続を示したFOMC

2020年01月30日 23時03分59秒 | 金市場
さてFOMC(連邦公開市場委員会)だが、もともと政策金利は2020年を通して触らないというガイダンスを昨年12月の会合で示しており、その通り変更はなかった。後は声明文での景気全般の現状認識と何といっても短期金融市場への資金供給(バランスシート)の今後をどう示すかということだった。端的には、3会合連続利下げに被る形で起きることになった、(明らかに株価を押し上げたことから)QEライト(軽量級の量的緩和策)とも呼ばれるドルのバラマキ策の行方だった。さらに議長の記者会見という点では、足元の新型コロナウイルス問題の経済への影響をどのように捉えているかということだった。

短期金融市場への資金供給(バランスシートの拡大)については、声明文では新たな指針など言及はなかった。しかしパウエル議長は記者会見で財務省証券(償還期限の短い国債)の購入を少なくとも4月まで継続し、いずれはペースを緩めるとした。FRBによる資金供給は年を通じて上下に振れるとしている。準備預金の下限を1兆5000億ドルとしてそれを満たす形で供給を続けるとした。いずれにしても、日本円にして月に6兆円強に上る市場への資金供給は当面続くことになる。繰り返すが市場では実質的な量的緩和策(QE)とする見方は多いが、FRBはQEには当たらないとしている。株式市場の“居心地のいい環境”は当面続くことになった。

この株式市場に優しい環境(ゴルディロックス)は、金にとっても同じく居心地のいい環境といえるもの。

新型コロナウイルス肺炎についてパウエル議長は、記者会見にて「深刻な問題」で「中国景気や周辺国に短期的な影響が出るとみられる」とした。周辺国とは言うまでもなく日本を含む。世界経済への影響を判断するには「時期尚早」としつつも、下振れリスクを「極めて注意深く監視していく」とした。こうした議長の記者会見が伝わる中で、米国株式市場は水準を切り下げ、10年債は買われ利回りは低下1.5%台に。金価格は通常取引終了後の時間外で水準を切り上げ1580ドル近辺での取引に移行することになった。

本日日本時間の深夜は、WTO(世界保健機関)が、緊急事態宣言を発動するのか否か。その場合の米国株市場の反応はどうなるかに注目。
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