亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

静かなる踏み上げ相場。高値更新か三尊天井か

2017年07月31日 23時50分14秒 | 金市場

先週末のNY金は、6週間ぶりの高値となる1270ドルまで見て1268.40ドルで終了。週足は3週連続で上昇となった。戻り高値の更新は、6月の米雇用統計前、さらに6月27日のポルトガルはリスボン郊外のシントラ(でのECBシンポジウム)前、そして6月のFOMC前の水準に王手をかけることになった。

7月7日(金)の終値ベースでの直近最安値(1209.70ドル)からちょうど3週間で60ドル弱上昇したことになる。

ここでファンドが大量のショートを急速に積み増したことを取りあげ、思惑外れの手仕舞い買い戻し、いわゆる「踏み上げ」が起きるのでと指摘したが、そのような展開となっている。

具体的には、7月11日時点(価格は1214.70ドル)で(ショート単体で)重量換算で490トンあった残が、先週末に発表された7月25日時点(1248.80ドル)のデータでは、403トンと87トンの減少となっていた。一方、買い建て(ロング)は、677トンから685トンとわずか8トンの増加にとどまっていた。このデータが語るのは、上昇の大きな部分が、下げを見込んで売りを膨らませたファンドの思惑外れの買戻し(ショートカバー)によるものということになる。

この間(7月7‐28日)に金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が、43.47トン、率にして5%強と大きく減っており、この現物の売りと先物市場での買戻しが価格面で真正面からぶつかることになった。つまりETFの売り規模が小さければ、上昇幅はさらに拡大していた可能性がある。連邦公開市場委員会(FOMC)のあった7月26日から週末にかけても、このショートカバーが続いていると思われ、さらにショートは減っていると見られる。それだけ、目先の買いエネルギーは減少していることを表す。

当面の焦点は、この内部要因主導型の上げ相場がどこまで続くかにある。つまり、ここまでのレンジの上限を試す動きの最終局面が迫っている。持続するには、フレッシュ・ロングと呼ばれる買い方に新規の資金が入る必要があるだろう。北朝鮮情勢やトランプ政権の内紛の行方によっては上振れもあり、8月前半は金市場から目が離せない。6月の高値を超えられるか、あるいは反落で三尊天井形成かという分かれ目の時間帯に入ることになる。



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