亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「みんな身構えているような状況」

2012年01月20日 21時35分04秒 | 金市場

凪(なぎ)状態が続いている。ユーロ圏情勢が小康状態の中で、米国サイドで発表される各種経済データも良くも悪くもないそこそこの結果となり、NY株もそれを映し落ち着いた動きを続けている。いわゆる「もちあい」状態だが、金市場も同様で166070ドルゾーンでは売りが控え頭を押さえ、下値は200日移動平均線が控える1630ドル台後半を意識した展開といえる。

 

19日の市場での高値は同日に予定されていたフランスとスペインの国債入札が問題なく終了しユーロが買われる中で見られた。その後は、益出しと見られる売りが目立つ中でNYの取引時間帯では発表された先週の新規失業保険申請件数が前週の40.2万件から35.2万件に大幅に減少したことを受け、金市場では結果に対するドル高の連想から売り物が出たと見られる。「連想」というのがポイントで、腰が据わった買いではないので手堅く益出しという回転の速い取引にならざるを得ないのだろう。このところ米国では雇用の改善を示すデータが続いているが、年末年始という季節性もあり、雇用分野は今後の持続性がポイントとなりそうだ。

 

19日に発表されたデータでは12月の米消費者物価指数(CPI)があるが、総合指数は前月比変わらず、食品とエネルギーを除いたコア指数は同0.1%の上昇となっていた。物価は落ち着いた動き。12月の住宅着工件数も発表になったが、こちらは市場予想の68.0万件を下回る65.7万件となっていた。水準は低いものの、このところは一時の低迷を徐々に抜け出しているという流れとなっている。

 

全般的に米国景気はリーマン・ショック後に何度かある循環的な“薄日が差した状態”にあると捉えている。つまり力強い日差しが注ぐまでに至らず、次の下降トレンドがやってくる可能性がある。ばら撒いたカネが目先の資金繰りを支えており、取りあえずは回っている状況。しかし、全般的にはユーロ圏情勢もあり、皆身構えているような状況だ。上げても出来高を伴わないNY株を見ていて、そう思うという話。

年始1月から2月は恒例のダボス会議(世界経済フォーラム)が話題だが、いくつかあるテーマに沿った分科会でグローバル・イシューズ・グループ(GIG)というのがあり、足元の世界の問題を取り上げるということだが、IMFのラガルド専務理事など国際機関のお歴々が揃っているらしい。伝えられているところでは、「成長を脅かす財政緊縮に警告を発した」となっていた。「成長や雇用の見通しを悪化させるのではなく向上させるように財政再建を実施すべきだと指摘」・・・・・どうやったらそれが可能なんでしょうかねぇ。。。


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2 コメント

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庶民の立場からみて (ささやか)
2012-01-21 07:50:59
最近の米国の預金率が下がっているとか。
家計において、ホームエクイティとかいうクレジットの負債が終息したのかな?だから消費が盛り上がったのかも、と思ってます。銀行は貸し倒れになったローンもありそう?銀行収益も厳しい状況が続く気がします。
“薄日が差した状態”
まさに的確な表現と感じました。
年始あたり「米国債も金もマイナス金利」という記事が日経新聞に出ていました。内容が難しく読み下す事が出来ませんでした。ただ、何十年に一度の今回の金の大相場において国債と同列に語られている事が実に興味深く思いました。
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欧州危機勃発なら金は買われる? (Kファン)
2012-01-22 13:53:02
市場関係者には楽観ムードが蔓延してきた。変わり身の早さには驚くばかりだが・・?
米国経済指標の好転とEU危機一服がその根拠のようだが・・?
不思議に思うのは先の米国債務(上限引上げ)危機、EU危機のときにリスク回避、現金化で金さえも売られたことを市場関係者が忘れたようなコメントをマスコミでしていることだ。
「これからはリスク回避で金は底堅い」と言った発言だ。確かにEU危機でも金は1,500ドル手前からここまで戻してきた。

しかし、本当にEU危機が深化する・・ギリシャが協議決裂でEUから離脱、ギリシャの無秩序なデフォルト、ポルトガル・ハンガリー危機深化などが起きれば金を含むリスク資産は再度総売り状態になるのではなかろうか?

イランとの戦争はないと思うが・・?
EU危機はいつ再燃するか全く不明だがいつ起こってもおかしくない。

だから、今私は腰を据えて金を買えないでいる。
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