亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

グロスで400トンまで膨らんだNY金のショート(売り建て)

2017年07月11日 21時31分50秒 | 金市場

週明けのNY金は、NY時間外のロンドンの早朝に記録した1204ドルが安値となった。JGMA(流通協会)のメルマガで書いたが、NYコメックスではファンドのロング(買い建て)の手仕舞い売りに加え、ショート(売り建て)の急増が目立った。

昨日3回目の調整局面としたように、年始に1151.40ドルでスタートした価格は、以下のようの高値、安値をつけてきた。

 1264.90ドル(2月27日) ⇒ 1194.50ドル(3月10日) ⇒1297.40ドル(4月17日)

⇒1214.30ドル(5月9日) ⇒1298.80ドル(6月6日) ⇒現時点で1204.00ドル(7月10日)

この間、上下動に合わせロングの増減が見られた。その一方で、ショートは減っても250トン程度までで、経験則からは高水準を維持したままで推移してきた経緯がある。金の先安観は、それほど強い。

そして先週末発表分のデータでは、7月3日時点でショートは398トンと前週から71トン増加。手元のデータでは、2015年12月29日の408トン以来の高水準となっている。ショートが膨らむ際は、(言うまでもなく)調整局面。価格も下値に接近していることが多く、ちなみに2015年12月29日の終値は1068ドルだった。

印象としては、ショートが単体で400トン程に膨れ上がったにも関わらず1200ドルを維持しているというのが足元の相場を見て思うこと。先週末の米雇用統計を受けた以降の下げ相場と出来高を見ると、さらにショートが積み増された可能性が高そうだ。

現在の水準辺りで下値が固まると、反転に向かい、まずはショートが100トン余り減る辺りまで上昇するというのが、蓋然性の高いパターンと思う。欧米金利に頭打ち感が出ること、また再び政治リスクの高まりが、買戻しを促すことになりそうだ。


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