亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

やはり「既存の流れに不満」を表した欧州議会選

2019年05月28日 23時23分22秒 | 国際情勢
欧州議会選の結果は、大方の予想通り2党で過半数を握っていた中道右派と左派は議席を減らすことに。しかし、親EUの色彩のある「緑の党」の議席を伸ばしたことで一応これまでの大枠は維持されることに。しかし、フランス、イタリアでは極右政党が議席を伸ばし、ドイツでは支持が分裂気味で、既存の政治に対する不満が高まっていることが名実ともに明らかになった。国別でも必ずしも極右やポピュリズム政党が躍進というわけでもなく、それぞれのお家の事情を反映した内容となった。結局、ほとんどの国で政治的分裂が進んでいることが浮き彫りとなり、今後それぞれ個別国の政治的不安定性が高まるのではと、思わせる結果となった。いわんやEUにおいておや、ということに。分裂し迷走する英国政治は、そのままEUにも投影されることになった。

ドイツが分かりやすい。メルケル首相が昨年まで党首をしていた中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組んできた左派寄りの社会民主党(SDP)がいずれも前回2014年の欧州議会選、2017年の総選挙と比べて大きく議席を減らすことに。特にSPDの凋落ぶりが目立った。対して総選挙で躍進した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が議席数を伸ばしたのかと思いきや、躍進したのは中道の「緑の党」だった。AfDは総選挙時より得票率は2ポイント下がっていた。結局、既存政党への不満の受け皿として、極右に向けるのは躊躇があり、中道の範囲で既存の流れとは異なる緑の党が浮上した。2017年のフランスの大統領選と総選挙におけるマクロン大統領誕生と共和国前進の躍進と同じ流れといえる。そのフランスでは、早くもマクロンに向かい風が。。。

注目されるのは2018年の総選挙時よりも大きく得票率を伸ばしたイタリアの極右政党「同盟」とその党首サルビーニ同国副首相が求心力を増しており、いまのところ主流派ではないが、これから何かと欧州の一方の顔的存在になりそうだ。余勢をかって再び総選挙で単独組閣という流れも。債券市場が警戒モードに入っているのは、イタリア10年債(=長期金利)の利回りが上昇していることでもわかる。



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