亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「BIG MOVE」

2012年09月14日 20時34分37秒 | 金市場
さて予想通りQE3の実施が発表された。しかしその内容は、予想を超えていた。FRBの金融政策の新たな局面が始まったと言えるものとなった。

昨日ここにFOMCの発表を待つ市場環境について「昨夕のドイツ憲法裁判所の判断待ちに似た雰囲気だ。」とした。それは、合憲判決が出るのは、ほぼ間違いないと思いながらも「もしかして?」という雰囲気もありイマイチ確信が持てないという市場の心理状態を指してのこと。実際に合憲判決が伝えられると市場は(織り込み済みとみられたものの)反応したという流れを指してのものだった。

やはり昨夜のQE3もそのようになった。否、こちらの方は“単純なQE3”ではなく、 目標とする政策効果が得られなければ無制限に政策を発動するという点でサプライズもあった。以前取り上げたがFRB内で金融政策のオピニオンリーダー的存在のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁などが8月に入り、そうした政策への支持を表明していた経緯がある。くだけた表現をするなら“何でもあり”的なものとなった。中央銀行としては前代未聞で非常に大胆な、ドイツ連銀の総裁など口もきいてくれないようなかなり踏み込んだ政策といえよう(ハハハ)。

決まった政策の詳細は報道に詳しいのでここでは重複をさけるが、今回、FRBは景気(雇用)を回復させるためには、一定のインフレにも目をつむるという不退転の姿勢を示したと捉えている。金市場にとっては、大きなサポートになるのは間違いなかろう。今回興味深かったのは、声明文が発表された直後の市場の反応が比較的鈍く、時間の経過とともに内容が吟味されるにしたがい買いを集めて行ったという点だった。上昇後も一時は材料一巡という感じで利食い売りに頭を押さえられたものの、その後のバーナンキ議長の記者会見で方針がより詳しく説明されると値を戻した。

ここまでのQE1にしてもQE2にしても、それぞれ政策の賞味期限的なものがあったが、今回は効果があるまでということと、効果が見えてもしばらく手は緩めないという徹底ぶりだ。学者あがりの議長は、自らの方針(理論)に自信を持っており、それをグイグイ進める姿勢を鮮明にした・・・・といって、以前からそういうスタンスだったが。ここにきて回りをその気にさせた手腕(政治力)はある面評価されるのだろう。民間企業での実務経験のない純粋な学者出身という点で戦後2人目の議長だが、共和党サイドからは“聞く耳を持たない”という指摘もある。我が信ずるところを突き進むということだが、失敗はやり過ぎた結果もたらされるということだろう。

結果はどうなっても新機軸を打ち出したということで金融史に残る議長になりそうだ。米ABCテレビが、今回のFRBの政策を報じる際に「BIG MOVE」というタイトルを使っていた。それを拝借。

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