「もうは、まだなり」

金市場の話だが、このところの値動きのパターンは従来にない形になりつつある。強いて当てはめれば2005年末から2006年2月に掛けての500ドル大台乗せから500ドル台後半への相場展開に似ている。この時も金ETFが主導し、ファンドの買い攻勢が高値追いの原動力だった。このところ「重い」という表現で買い建て玉の多さを指摘してきたが、確かにNYコメックスでは750ドル接近とともに利益確定の売り物が見られ、終わってみれば「行って来い」という展開ではある。ただし注目すべきは、足元で取組がなお拡大していること。相場格言を地で行く相場になっている。いわゆる「もうは、まだなり」。昨日、複数の人と目先の価格展開について話す機会があったが、その時に当方が使った言葉は「サブプライム反動相場」というもの。デリバティブ金融商品への様々な形の疑念が、実物資産である金に運用マネーを向かわせている。またサブプライム禍からの脱出のための集中豪雨的通貨供給が運用通貨たるドルへの懸念を膨らませ、代替として「金」へ向かわせる。市場参加者が増えた金市場では、かつての経験則を超えた建て玉の拡大が見られるやも知れぬ。回転が効いているうちはいいが、投資主導の上昇相場は最後は乱高下は避けられぬ。これだけは変わらないだろう。その点で「もうは、まだなり」が「まだは、もうなり」に転換する。この見極めは、簡単ではない。明日の朝は、テクニカル主導の買いに、ストップロスのカバーを巻き込み・・・・という場況になるのだろうか。いずれにしても、今夜の展開は今後を見るのに注目点になるのではないか。