亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

為替乱高下、我が道を行くゴールド

2022年09月08日 18時28分58秒 | 金市場

6、7日とリアルの講演含め夕刻の時間帯まで外での仕事で、更新見送りに。

9月7日のNY金は反発で前日比14.90ドル高の1727.80ドルで終了した。米10年債利回りが一時6月16日以来の高水準となる3.368%まで上昇したものの、NY時間には3.25%に低下。対ユーロでのドル安も手掛かりに反発となった。置かれている環境は、先週5日連続安となっていた際と変わりはないと思うが、レイバーデー(労働者の日)を含む連休入り前に反発したものの、明け後に売り直され、この間に58.5ドル(3.3%)の下げとなっていたことから、安値拾いの買いが入りやすい状態にあったといえる。

週明け5日のここに、「この間に先物市場ではファンドのショート(空売り)が溜まったのは間違いなかろう。30日までの1週間でも重量換算で19トンほど、その前の週を含めると64トンものショートが積まれている。これが回転が効くのか、つまりNY金が1700ドルを割れ、下値を深くするなら利食いの買戻しとなるが、ここまでの経過はそのまま損切り、つまり踏まされるパターンが続いてきた。今回もそうなるのではとみている」と書いた。

レイバーデー明け後に新規資金が流入し、上昇基調に転じることが多いのがNY金のパターンで経験則だが、今回は欧米の中央銀行が競うように利上げを続け、しかも大幅利上げに転じる中では、さすがに金にとっては逆風の環境といえるもの。欧米のアナリストの中には弱気見通しが多いのが現状ロなっている。多くはサポートラインを1680ドルに置き、このラインを割り込むと1600ドル方向に下値を試すとしている。 大幅利上げというと、7日もカナダ中銀が(Bank Of Canada)政策金利を0.75%引き上げ3.25%とした。2008年4月以来14年ぶりの高水準となったが、為替市場には目立った動きは見られなかった。

なにゆえ市場は反応しなかったのか。

背景にあるのは、9月20~21日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が0.75%と3会合連続の大幅利上げが想定されていることだろう。先週来多くのFRB関係者の発言が伝えられているものの、当然ながら利上げ幅を示唆するものは一切見られなかった。来週の8月消費者物価指数(CPI)などデータ次第で変わりうるので、取り上げられないというのが実状だろう。

それにも関わらず市場が0.75%を読むのは、前日6日に発表されたISM非製造業景況指数が予想外の上昇となり、4月来で最高となるなど、米国経済の相対的な強さが強気予想の背景となっているころとがある。

この日は、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が0.75%の利上げ見通を報じた。WSJのFedウォッチャーで知られるNick Timiraos記者の記事だけになおさらということに。6月のFOMC直前にFRBが利上げ幅の拡大(0.5%⇒0.75%)を決めた際に、それを報じたのがWSJのNick Timiraosだったことから、7日の記事はマーケットを動かすことになった。

言うまでもなく為替市場は、「弱さ比べ」あるいは「強さ比べ」の場であって、相対比較の場。こっちが悪くても、相手がさらに悪ければ、上昇となる。今の為替市場は「相対的な強さ」を手掛かりに、おそらくCTAと呼ばれる「生まれたモメンタムに素早く乗って、それを加速させ乗じて稼ごうという」筋がドル高を煽っていると思われる。為替市場の激動は要注意と思われる。

為替村の騒動を横目に、無国籍通貨ゴールドは、我が道を行っている。

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