亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

政府系ファンドの年末バーゲンハンティング

2007年12月21日 20時18分20秒 | 金市場
昨日の続きになるが、またWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じるところによるとメリル・リンチにシンガポールの政府系投資ファンド(Temasek)が50億ドル(約5600億円)の出資を検討中とのこと。政府系ファンドのバーゲンハントが続いているわけ。日本時間の昨夜は「(サブプライム関連商品の処理で)傷んだバランスシートの回復が急務」、「損失開示と早期償却が必要、そのために資本を積み増す必要がある」、「海外資金の流入に懸念はない」というブッシュ発言があった。「貸し手や投機家を救済することはしない」とも。昨日書いたように結局海外の利潤追求型“公的資金”の投入で乗り切ろうという流れが、広がっている。それにしても政府系ファンドが持ち分を分担した上で絡まった縄を解くように乗り出してきているが、我等のビッグバンク3行が支援を断わっても日本の影響力ダウンのイメージこそ残れ、ダメージはないということか。日本国が外貨準備の一部を使ってシティに出資などという話は、こうした他国の「前例」のもとに将来検討事項に上るということだろう。先日から書くように損失がドンドン表面化してこそ、正常化に向かう。損失拡大の悪い話がどんどん出てくるが、これはイイ話なのだ。問題はその資金の流れを作り出すこと。

ここでも結局、世界経済の懐が深くなっていることで米欧の主要金融機関が助けられるという構図。米国自身がグローバル化により助けられているのは、巨額の経常収支の赤字が滞りなくファイナンス(米国への資金流入)されていることで既に明らかだが、こうして事態が進行する中でやはり徐々にではあるが力は衰えていく。衰亡記のような話。

いずれにしても、これで米国のクリスマス商戦が予想外に健闘などとなったら、株とドルは上昇、金は下落となるが、それがリスクシナリオか。今夜の個人消費支出(PCE)物価が高めに出ると来月の利下げモードが一時的に後退して金は売られることに。いやいや、先日目先のデータに一喜一憂しても始まらぬとここに書いたのだったね。全体的には金融への懸念がある間は、サポートされるでしょ。

本日は規模が大きめの忘年会に声を掛けてもらっていたが、結局顔出しできなかった。約束した方々、すんません。これから中野駅界隈にひとり繰り出し、明日は出張ゆえ、そそくさと帰ります。

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1 コメント

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Anglogold (fairlane)
2007-12-22 22:13:38
Anglogoldが完全にヘッジを無くすことを表明しましたね。2008年の終わりまでにとのことですが。
いろいろと政治的な動きに金価格も翻弄されてますが、現物業者は冷静に価格上昇を見込んでいるようですね。
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