亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金利水準よりカネ巡り 

2022年10月17日 20時01分04秒 | 金市場

先週末14日は市場横断的に前日の米消費者物価指数(CPI)中でも(食品とエネルギーを除いた)コア指数の上振れ(前年比6.6%、1982年8月以来の水準)を、反すうするような形で、改めて米債金利(利回り)が上昇し、それにつられてドルも上昇しNY金も売り直され、3週間ぶりに1650割れで通常取引は終了ということになった。

 

13日の発表前に、ここに「結果が上振れて、市場内で再び0.75%でなく1.00%利上げ観測が生まれることが、市場波乱につながる」と書いたが、11月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ幅0.75%がほぼ固まったが、現時点で10数%の確率で1.00%を読む動きも生まれている。12月の会合でも当初の見通しの0.5%の利上げを0.75%に切り上げとの見方も生まれることになった。ピークアウトの感触が得られないインフレは、FRBによる利上げのターミナルレート(利上げサイクル当着点の金利水準)見通しを立てにくくし、市場の不透明感が払しょくできない状況が続くことになる。

 

14日はそれをヒラヒラ舞う米債相場と書いたが、その日に10年債利回りは再び大きく上昇し(相場は急落)、再び4%を超え4.024%と終値ベースでも14年ぶりの4%超となった。前日は一時4.073%まで上昇したものの、引けは3.945%となっていた。週明け17日はNY時間外のアジアの寄りは先週末の水準で始まったが、その後買いが先行する流れで日本時間の19時30分時点で3.945%程度で推移中となっている。つまり水準を下げている。

こうなるとドル指数(DXY)は売られNY金は買いが先行し1660ドル台に。米株先物は1%程度の上昇で推移している。英国情勢がイングランド銀行(BOE)の各種アナウンスメントに加え、政府の減税策修正、財務相すげ替えなどなど、あの手この手の沈静化が奏功し小康状態にあることも、米10年債利回りを落ち着かせているようだ。

 

思うにコアCPI上振れで1%利上げ拡大まで織り込みにかかった市場を制御したのは、FRB内から発信されている、一度に1.00%利上げはやり過ぎにつき、やるとしてもバーは高いとのメッセージだろう。先週はブレイナードFRB副議長がそうしたニュアンスで語っていたし、先週末はセントルイス連銀のブラード総裁もそのような発言で、ターミナルの前倒しはあっても0.75%を超える利上げはデータ次第だが、考えにくいというのがFEDコンセンサス(FRB内の共通認識)といったところか。

しかし、ここまでの鋭角的な利上げや、この先も従来感覚で急角度の利上げが続きそうだが、市場はよく保(も)っていると思う。金利水準は上がれど、カネ巡りは確保されていることが背景にありそうだ。

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