昨日はこのブログの更新をした後の時間に金は動きが大きくなった。
結局、昨日は前日比47.40ドルの2043.30ドルで終了した。4営業日続伸となるが、一時は2078.80ドルまで買われた。バイデン大統領がこの日、ロシア経済の大動脈を標的にするとして、ロシアの石油、ガス、エネルギーの輸入を全面的に禁止すると発表。米国は単独でも禁輸を発表するとの観測が発表前から流れていたこともあり、市場では先行した動きが見られていた。金が上値追いとなったのは、この制裁強化によりエネルギー需給がさらに逼迫し、インフレが景気を冷やすというスタグフレーション懸念が、買いの背景ということに。
ロンドンの早朝6時台に2020ドルを突破した金は、その後もみ合いに入った後に一気に騰勢を強め節目の2050ドル超えから2060ドル台まで値が跳ねることになった。その後NY早朝から通常取引に入り昼前までは2060ドル台での取引が続き、この間に前記の2078.80ドルの高値を記録した。
経験則としては、いわゆる「(値が)吹く」ことが、当面の高値を付けたり天井圏のシグナルになったりするのが金の特徴といえる。相場というのは、何でもそうかもしれないが、金は一定の節目に値動きが大きくなりやすい。
昨日はその高値を見て間もなく売り先行の流れに転じ、次は急落という荒れた展開に。2060、50、40、30ドルと節目を下切り2020ドル台前半まで落ちたところで、売りは一巡。そこから買戻しの動きに反発したところで通常取引は2043.30ドルで終了。その後の時間外取引で買戻しの動きが続き、再び2060ドル台を回復し、その近辺での取引が続き時間外取引は2058.00ドルで終了し、9日アジア時間の取引に引き継がれた。
ロンドン時間の急伸については、先物市場でのショート(売り持ち)の買戻し、つまりショートカバーが主導したものと思われる。昨日取り上げたニッケルの暴騰相場が波及したという側面もありそうだ。興味深いのは、NY時間の昼前からの金の急落は、NY株の反転上昇と同じ時間帯に起きていること。ちょうどバイデン大統領が東部時間11時20分から演説を開始し、禁輸を表明した時間帯と符合する。この発表を受けそこまで下げ続けていた株式市場は反転し、午後1時過ぎにはダウ30種はプラス圏から一時600ドル近い上昇となった。ダウ30種は前日には797ドル安と今年最大の下げに見舞われていたが、この発表で対ロシア制裁も一巡ということで材料出尽くしとみた押し目買いや売り方の買い戻しが入ったとされる。ちょうど金市場では、この株式市場と逆の動きが起きていたことになる。株の方は買い一巡後は再び売りが優勢になり、ダウ30種は結局マイナスに転じて終えたが、金は反転し再び2050ドル台に復帰し取引を終えたことになる。
実はNY金の高値更新は、来週のFOMCにて利上げが発表され、一連の利上げサイクルのスタートが名実ともに織り込まれたところで起きるのではと想定していた。正直って高値まで接近したことで驚いた。別に更新しても不思議はないが。この辺りでいったん押し目を作り、来週次の動きという流れを想定するのだが、果たしてどうなるか。ここまでのところ、高値圏での波乱が予想される中で、押し目買いの強さを感じさせる展開ではある。