昨夜ここで8月の雇用統計について、雇用者数の増加数について下振れ傾向が高く過去18回中14回予想を下回っているということを書いた。早い話が過去18年で14年予想を下回ったという話。8割・・・正確には77%の出現率となると当然今回も、ということになるが、果たして結果はそうだった。1時間ほど前に発表された前月比(非農業部門)雇用者の増加数は17万3000人だった。予想は22万人だった。心理的な節目というと大袈裟だが、マーケットが基準に置いている20万人を割ることになった。しかも、結構深く。
昨夜は8月速報値が“下振れる”ことが多いということで、例として18万人台くらいの数字が出ても不思議はないとしたが、その数字を1万人程度下回る結果となった。興味深いのは金市場の反応で発表直後は一気に買い優勢に転じ1121ドルから1130ドルに接近するところまで買い上げられ、その流れが一巡すると逆に売りを浴び1120ドル割れの水準まで値を消している。
発表された予想を大きく下回る17万3000人増に初期反応では買いが入り反発。一巡後には売り優勢の中で反落という流れ。しかも下げは(現時点で)このところのレンジ下限の1120ドルを割れるところまで来ている。テクニカル的には1117ドルがサポートになっているが、ここまでの所はそれを維持。
ところで今回雇用者数は速報値に対し6月は1万4000人、7月は3万人も上方修正されている。つまり、そもそも8月の数字は後に上方修正されることが通常月より多い。となると、17万人台は1ヵ月後に上方修正されるわけで、それほど重大視せずともいいというわけか・・・・。もちろん、上方修正されると決まっているわけではないが。そこまで背後に隠れた要素も読んでの反応となると、まことにややこしい時代ではある。
ちなみに8月の「労働参加率は3ヵ月変わらず62.6%で1977年低レベルで動かず。昨夜の下方修正されたECBのインフレと経済見通しではないが、こちらも調査日は今回の金融波乱が起こる前の時点でのこと。