昨夜ここに書いた内容を生かして、本日の市況にまとめたもの。ご参考までに掲載します。
「好調な米民間雇用データを跳ね返し金は反発。三角保ち合い形成中」
3月2日のNY市場の金価格は反発となった。前日は世界的に株価が反発、NY株もダウが348ドル高など大幅上昇する中で、金市場は逆に売り優勢の展開で反落となっていた。この日は株高が一服する中で金はすかさず切り替えしという展開で、このとろこの堅調地合いを感じさせる値動きとなった。
取り立てて金市場にとって好材料とみられるニュースのない中で、金ETFの残高増加に象徴される資金流入により相場がサポートされるという、少なくとも過去3年間見られなかった状況が続いている。
このところの金価格は1250ドル近くまで来ては、振い落されて1210ドル台あるいは1220ドル台に、そこからジリジリと這い上がっては落とされ“振り出しに戻る”という展開が続いている。振い落されても、振い落されても根性で這い上がるという印象で、2月の急伸の後は、戻り売りであっさりと1200ドル以下(1100ドル台前半)に舞い戻るという見方をしていた弱気筋まで “この強さは何なんだ!?”とばかりに注目という展開となってきた。
2日のNY市場でも、早朝に発表された給与計算など民間雇用サービスのADPと各付会社ムーディーズの関連会社がまとめる2月の全米民間雇用報告が市場予想19万人増に対し21万4000人増となり、米国労働市場の力強さを示し、金は発表後に1230ドル台中盤から急反落する局面がみられた。このデータは、週末5日に控える2月の雇用統計の前哨戦のような位置付けとなるもので、整合性が高いとはいえない部分はあるものの、5日の雇用統計の好結果を予見させる内容といえた。
すっかり沈静化している3月FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ観測だが、FRBは未だ指標次第として可能性を探っていることから、こうした好結果は金市場も無視はできないところだ。ただし、2日の取引でもこの売りが一巡すると相場は切り替えし下げ幅を回復しその後もジワジワと水準を切り上げプラス圏に入った。
こうして2日のNYコメックスの通常取引は、前日比11.00ドル高の1241.80ドルの反発で終了した。終値としては急伸した2月11日以来となる年始以降2回目の1240ドル台で水準も2番目に高いもの。
値動きも1220~1250ドルの間の往来を続けるうちに、日足のチャートの形がいわゆる“三角保ち合い(ペナント型)”を形成しつつあり、早晩、上昇あるいは反落という上下双方の動きが出やすい形になっている。この点で、本日発表が予定されている、ISM非製造業景況指数の結果が注目される。結果の程度にもよるが、金価格が大きく反応する可能性がある。(亀井幸一郎 2016年3月3日記)