週明けはNY市場が連休につき、話題はヨーロッパ関連。フランスの大統領選挙の候補者支持率をめぐる世論調査の結果が話題になった。以前は、第3の候補と目されていた中道左派のマクロン前経済相が、フィヨン元首相の敵失を機会に本命に浮上、いまや話題の中心のルペン国民党党首と一次選挙のトップを競うという構図。ただし、本選はマクロン、フィヨン両候補の支持者がまとまることで、ルペンの勝ち目は薄いというのが大勢的な見方となっている。
現時点で、決選投票にはマクロンとルペンが残るとの見方が多く、この2人の間では20日に行われた支持率世論調査(調査会社オピニオンウェイ)の支持率では、58%対42%になったと。前回は62%対38%だったそうで、差はつまっているとされる。58対42というと、米大統領選のクリントンとトランプの数字が、こういうものだったのではないかと思う。“隠れトランプ支持者”の存在が本選の結果につながったとの指摘もあるが、“隠れルペン支持”が相応に居ても不思議はない。
構図として似ているのは、とにかく流れを変えたいという有権者の中の閉塞感の高まりとみられる。結局、マカロンもフィヨンも既存の政治体制の枠内での選択であって、どちらでも実質は変わらない。この点で確かに破壊的な側面は否めないが、ルペンなら変わるのは間違いないわけで、有権者がどうとらえるか。
ちなみにルペン当選となると、EUの分断化やNATO(北大西洋条約機構)の弱体化ということで、ロシアの諜報機関がチャンスとばかりに、この選挙戦にからんでいるとの話があるし、あっても不思議はない。真正面からの地政学的リスクなのだ。