「収まらぬファンドの売り攻勢」
17.40ドルの大幅続落となった10月9日のNYコメックス。海外通信社は、下げの背景を次期FRB議長にイエレン副議長の指名が決まったことから、市場にあった不透明要因のひとつが消え、NY株やドルが買われる一方で金は売られた・・・と背景を伝えていた。次期FRB議長の人事は確かに不透明要因と言われればそのとおりだが、有力候補の最筆頭に挙がっていた人物に決まったわけで、意外性は全くと言ってなかったのも事実。ピンとこない背景説明だった。
9日の下げも1日の下げと同様、売り仕掛けといえる動きがあって、勢いのついた下げ相場だった。現地午前10時過ぎにまとまった売りが出され、10分ほどで急落相場が現出した。結果的にはコメックスの通常取引(フロア取引)終了後に発表された、9月のFOMC議事録の内容を先取りして売ったイメージとなった。というのも議事録の内容が、大半の参加者が、年内の縮小開始および2014年半ばのプログラム終了を念頭に置いていることが判明したのだが、すでにFOMC後に複数の地区連銀総裁が、議事録公開に先んじてその内容をしゃべっているので、こちらもかなりの部分織り込み済みといえた。
10日は、オバマ大統領がホワイト・ハウスに下院共和党議会指導部と議員を招き直接交渉が始まるのだが、先行して債務上限を暫定的に引き上げる案が下院共和党で準備されているというニュースもある。まとまれば株価など急反転ということになるが、日本時間の明日の昼ごろには大勢判明か?
ところで本日は木曜日で週間ベースの失業保険申請件数が発表された。このところ申請者の数が徐々に減り雇用環境の改善を思わせたが、本日発表分は市場予想31万8000件のところ、なんと!37万4000件と6万6000件も増加した。カリフォルニア州で新しいコンピューターシステムが導入され一気に処理されたことによるとされる。また、政府機関の閉鎖も職員のレイオフ増加で背景のひとつだろう。
米財政協議は時間稼ぎの先送りになりそうだ。仮にそうなれば、カネ巡りは確保されるものの政治の膠着状態は続きそうだ。条件の有無と内容がどうなるか。共和党への非難は元より、リーダーシップを取れないオバマ大統領の支持率が37%まで下がっていると米ABC放送が伝えていた。