亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米市場金利の低下、2年と5年債は11年ぶりの利回り逆転(逆イールド化)

2018年12月04日 22時29分35秒 | 金市場
90日間の期限付きとはいえ米中間の雪解けを思わせる展開に、週明けのNY株式市場はアジア、欧州の流れを継いでリスク・オンの展開で大幅続伸に。3日にはムニューシン財務長官が中国が1兆2000億ドルを超える輸入拡大の意向を示したことを明らかにした。また、習近平国家主席が、米国企業に対し中国市場の開放に向けた動きを取ることを確約したとした。同長官は「明らかな変化」と表現していた。マーケットが好感したのも、むべなるかな。

一方で、トランプ大統領は、新たに始まる通商交渉の責任者としてライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の任命を発表した。対中強硬派として知られるだけに、ニュースを見て、おやや!!!だった。役職柄妥当な配置とはいえ、この人選が今後の交渉にどのような影を落とすことになるのか予断を許さずといったところだろう。

今週はFRB高官の講演など発言の機会が増えている。すでに今月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは織り込み済みで、来年の見通しに関心が集約されている。足元の市場は、ここまでの「継続的な利上げ」路線に変化が見られるのではとの期待が膨らんでいるだけに、週末の雇用統計など重要指標が強気のものとなると反動がありそうだ。

面白いのは、3日の市場では、リスクオンにもかかわらず債券が買われ米市場金利の低下が目立ったこと。株高に沸く一方で、債券市場は先行き懸念のシグナルを発していたということになる。

3日の米10年債利回り(長期金利)は2.970%で終了となった。2年債と10年債の利回り格差は、0.146と約10年ぶりの水準に縮小。2年債と10年債の利回り接近から逆転は、米景気後退入りを示唆する指標として注目する向きは多く、FRB高官の間でも議論を読んでいる。ちなみに3日は、3年債と5年債の利回り格差が、2007年以来初めて逆転している(逆イールド)。本日4日の日本株は大きく売られたが、海外勢の先物売りか。米市場金利の低下を見て、金市場ではファンドのショートカバー主導の上げが起きている。


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