亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金1600ドルをクリア、後はこの水準の維持

2020年02月19日 23時20分40秒 | 金市場
昨日最後に「まずは引値ベースで1月30日の1589.20ドルを抜くことが肝要」としたが、結果は4連騰で引値ベースで1600ドル台乗せとなった。NYコメックスの通常取引は、前日比17.20ドル高の1603.60ドルで終了となった。終値ベースで年初来高値を更新し2013年3月以来6年11カ月ぶりの高値水準となる。ザラバ(取引時間中)の高値は1608.20ドルとなったが、年始1月8日のアジア時間につけた1613.30ドルを上回ることはなかった。もっとも1月8日の高値は、米イラン間の軍事的緊張の高まり(イランによるイラク国内の米軍使用基地の報復ミサイル攻撃)が伝えられた際に、アジア早朝の取引の少ない時間帯に瞬間的につけた価格であり(フラッシュトレードの類)、対して18日の高値は1600ドル超での売り買い交錯状態の中でのことゆえ(取引量など)背景に厚みがあるといえる。18日のNYコメックス先物市場では、積みあがったロング(買い建て玉)の益出し売りが進んだ、つまり回転が利いたとみられる。

戻り高値を更新し、(たいした量ではないが)年始のしこり玉を一掃し軽くなった金市場は、高値警戒感を引きずりながらも上値追いとなるのではないかと思う。水準を切り上げた1600ドル台をどの程度維持できるかで、今後の価格展望も変わることになる。

東京商品取引所(TOCOM)の金先物価格は連日の上場来高値を更新し、本日昼間の取引は5670円の高値引けとなっている。1月の時点で2~3月に5700円近辺への上昇をある媒体で語り、すでに配布されているが、ドル円に目立った動きがない分、円建て国内価格はドル建て価格をそのまま映すことからわかりやすくなっている。アップルの業績下方修正の可能性発表は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、漠然としていた懸念が数値化すなわち見える化することになった。それに金が反応することになった。

動きが目立ったのは米国債で、10年債の利回りは1.562%に低下。3カ月物財務省証券(1.582%)との利回り格差は再び逆転した。この長短金利逆転現象は先週も発生したが、その後解消されていた。向こう1~2年以内に米国経済がリッセッション(景気後退)入りする有力なシグナルとされるが、昨年3月に約10年ぶりに逆転した経緯がある。

世界的に年金基金など長期の投資家が“利回り探し” をする中で、米10年債が買われやすい(利回りが低下傾向)という点を割り引く必要はあるが、やはり投資家は逆転現象を気に掛ける。利回り低下という点では、この日米30年債も買われ一時1.98%と昨年9月5魏以来の低水準を付けた。過去最低水準は昨年8月28日の1.905%となっている。

本日は1月のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨が発表される。FRBのバランスシートの拡大ピッチの速さが、異例の株高など金融の不安定化につながる可能性にどの程度のメンバーが言及したのか否か。声明文や議長記者会見からは、見えなかった点についてどのような話し合いが行われたのか。

1月の米住宅着工件数の発表もあるが、天候も良く、ローン金利も低い中で堅調な結果となりそうだ。

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