亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米5月CPI、米債相場はNY金をサポート

2021年06月10日 18時56分49秒 | 金市場

さてこう着状態の相場の打開する手がかりとして市場関係者が注目するのが本日の5月の米消費者物価指数(CPI)。

市場予想が前年同月比+4.6%上昇と、上振れサプライズとなった4月の同+4.2%をさらに上回るものとなっている。変動が大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も4月の前年同月比+3.0%に対し予想は同+3.4%上昇と、かなり高めだ。4月は総合指数が+3.6%の予想のところ+4.2%の結果に反応し、長期金利は一時1.702%まで上昇。米主要株価指数も軒並み2%からそれ以上の値下がりに見舞われた。米連邦準備理事会(FRB)が想定より早く緩和策の終了に動くのではとの見通しが急浮上したことによる。

しかし、CPIのさらなる上昇加速を読む市場にあって発表を翌日に控えた9日の米長期金利は、2日続けての低下となった。債券相場で表現するなら続伸ということになる。NY時間外のアジア時間からNYの早朝にかけて、利回り水準を切り下げながら相場は進行した。継続的に買いが入っていることを意味する。NYの午前の早い時間に節目の1.5%を割れると、株の取り引きが始まる午前9時半頃には1.471%まで水準を切り下げた。

米国株の主要株式指数ともに午前中は買いが先行したのは、長期金利の急落も手掛かりになったと思われた。ちなみに、このタイミングで、NY金は1901.70ドルまで買われたが、それがこの日の高値だった。午後に入ってからは、この日実施された10年債の入札結果が良かったこともあり1.5%台を回復。しかし、終盤は再び1.5%を割り込み1.490%で終了となった。3月3日以来約3カ月ぶりの低水準となる。9日までの2日間で10bp(ベーシスポイント、=0.1%)近く下げたことになる。債券市場では大きな動きといえる。

それにしても、前回4月より高めの予想になっているCPIを控え、水準を切り下げる米長期金利。債券投資家は、下振れを読んでいるのか。足元の米債市場は、先週の雇用統計が前月に続き雇用者増加数という点で回復の勢いが鈍っていたことで、FRBが緩和スタンスを変えないという見方が台頭。この辺りは昨日更新したYoutubeでも関連の内容を取り上げた。それでCPIを前にショート筋が買戻しに掛かっているところに、新規の実需買いが加わっているようだ。実需買いは日本勢との指摘もみられる。それと、過熱を思わせるインフレ指標の発表が続く中で、FRBが一貫して「インフレ急進は一時的なもの」との見方を繰り返していること。市場に浸透しつつあるが、仮に今回予想を上振れしたなら、FRBの見方に疑いがかかる可能性はある。

足元のNY金は1860~1920ドルのレンジにある。米債相場の動きは、NY金にはサポート要因ではある。イレギュラーな要素が多く、予想は難しいというのがこの数カ月の経済指標となっており、それはFRBにとっても同じ。だからデータの結果を見てから動こうということになったとの、笑い話もある。

昨日、更新のYouTube

 

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