亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

熟れ切った市場(ロボットが作る小幅なレンジ相場) 

2021年06月09日 20時40分59秒 | 金市場

為替市場の動きの無さは、ここ数年来のことで、メディアに登場する専門家が日々のレート予想を求められ、みなほとんど同じ内容になっているのを見て、大変だなぁ・・・・と思う。足元で 金市場に限らず投資家は方向感のつかみにくい環境の中で、目先のトレードを繰り返す状況に陥っている。NY金に絞ると、事前に組まれたプログラム(アルゴリズム)に沿って、個別の経済指標に反応する形で売買を繰り返すロボット(コンピューター)トレードがレンジを作っている。

8日のNY金は通常取引入り前後の時間帯に、10年債利回り(米長期金利)が1カ月ぶりの水準(1.513%)まで低下したことを受け1900ドル超に上昇。ただし、その後、午前の中頃にかけてドルが対ユーロを中心に強含みに推移したことから、売りが先行する流れに転じた。といってもドル指数(DXY)で0.2ポイントほど動いた程度で、指摘するほどでもないが、それに反応して売られたと思うという程度の話。1885.70ドルが下値だった。そこから買い戻され前日比4.40ドル安の1894.40ドルで終了。

特記事項なしと言いたいところだが、ある。それは米長期金利を1カ月ぶりの水準に押し下げたとされる材料が、米独立事業者協会(NFIB)が発表した5月の中小企業楽観度指数の低下とされること。過去に目にしたことのある団体ではあるけど、いつもはスルーされるものだと思う。その楽観度指数が前月から0.2ポイント低下して99.6になったことが、長期金利を押し下げた(ロイター)ということは、米債買いの材料になったということ。新型コロナ前との比較で未だ730万人もが職を失った状態にある環境で、積極的な求人活動をしても人は採れないという特殊な「労働力不足」の中で、インフレ懸念の高まりもあり、中小企業経営者のマインドが低下しているということのようだ。そんな(というと語弊がありそうだが)指標で、いま皆が注目している長期金利が目立って動くとは。。メモリアルデーも過ぎ債券トレーダーはワクチン打てばマスクなしOKということで、みな夏休みに入り薄商いということか。それともロボットに米独立事業者協会(NFIB)中小企業楽観度指数がプログラムされているのか。

・・・とちゃかした書き方をしたが、足元の米国の労働市場の話は何とも理解しがたい状況ではある。8日に労働省が発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人件数は928万6000件と過去最高を更新していた。経済活動の正常化で企業の求人が急増しているが、企業は必要な働き手を見つけられない。一方で、FRBも政府も700万人余りを職に復帰させようとテコ入れ策を打ち続けている。。。

そうした折に出ている話が、全米の半数にあたる25州で、失業保険給付の連邦政府による特別給付(9月上旬期限に週300ドル上乗せ)を今月から来月にかけて前倒しで打ち切る方針が伝えられている。いずれも共和党知事の州だが、過剰給付が働く意欲を失わせているとの指摘があり、それは間違いではないだろう。小さな政府、自助努力を掲げる共和党主導の州は、前倒しの打ち切りを探っている。となれば、これら25州は先行して雇用者数は増えるのか、結果が興味深い。 結局、明日の5月のCPI(消費者物価指数)くらいしか目ぼしい手掛かり材料がない中で、動きようなしということだが、やり尽くした感ということか。熟れ切った金融市場。しかし、何かを見つけるか創り出すかで次につなげようとするのだろう。それが出来なければ、落ちるのみ。

さて、本日午前に「亀井幸一郎のゴールドボイス」YouTubeおよびポッドキャスト版ともに更新。

タイトルは「資金流入が待たれる金」。

以下をクリック下さい。

 

 

 

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