亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

おおいなる肩透かし状態

2015年08月03日 20時38分07秒 | 金市場

先週末の市場はおおいな肩透かし状態となった。

「雇用コスト指数」なるものは、これまでほとんど関心を持たれることのなかった指標といえるだろう。それがそうでなくなったのは、雇用統計の中で(労働参加率の低下など問題はあれ)失業率が完全雇用に近い水準まで下がり、かつ雇用者数の増加も問題なく進展する中で、残された課題がインフレ率となっていること。インフレ率の上昇の後押しになるのが、賃金上昇で、FOMC(連邦公開市場委員会)が重視しているのがこの雇用コスト指数となっていることによる。

先週はFOMCや4-6月期GDP速報値の中でも物価上昇を示すデータ(PCEデフレーター)を受けて利上げ期待が高まり、週末金曜日に発表される「雇用コスト指数」が、前回並み(前期比+0.7%)の数字が出て、ジグソーパズルの残り少ないピースが埋まるような形で、利上げ観測も高まるというのが市場の大勢的な見方だった。その週末最後のデータがよもやの肩透かし状態になる。

市場予想は(前期比)+0.7%となった前期並みの+0.6%となっていたが、結果は+0.2%と伸びが大きく鈍化していることが判明。伸び率としては、1982年4-6月期にこの統計の発表が始まって以来33年ぶりの小さなものと言われても、ピンとはこないものの、33年ぶりなどと表現されると、いかに期待外れであったかはわかろう。

「失望的な結果」という表現をしているレポートもあった。つまり、利上げとりわけ9月の利上げ期待は再び削がれることになった。こんな状態では、あれこれ時間が経過しているうちに、想定外の阻害要因が生まれ、結局、利上げのタイミングを逃すという元々あるシナリオも浮上しそうな展開。しかし、今週は週末の雇用統計は言うに及ばず本日これからの個人消費支出・所得、コアPCE デフレータ、建設支出、製造業ISM、明日の製造業受注に水曜日にはADP 雇用統計と注目材料が目白押し状態。

雇用コスト指数がこの結果にも関わらず、金の上げ鈍かったのは翌週にこれだけの材料が控えていることがあったということだろうが、それにしても1100ドル超での引けも維持できないというのも、弱気が蔓延している。金市場も肩透かし状態。もっとも、この段階で中途半端なショートカバーが展開されるのもなぁ、という感じ。

羽田行最終便待ちの関空にて更新します。

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