亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

トランプ弾劾騒動に反応していない金市場

2019年09月25日 22時39分20秒 | 金市場
報じられているようにNY時間24日の午後に来年の大統領選挙を念頭にウクライナに圧力をかけた疑惑から野党民主党内でトランプ大統領弾劾に向けた動きが報じられたが、こちらは金市場よりも株式市場の反応の方が強かったように思われる。というより金市場は反応しなかったように見受けられた。

24日の流れの転機となったのは国連総会でのトランプ大統領の演説だが、知的財産権の侵害や強制的技術移転など中国の通商を巡る慣行を改めて非難し、望ましくない合意は容認しないと述べた。先週前半には“暫定合意も可”というニュアンスで語っていたが、先週末金曜日には前言を覆し、“包括的な合意”を目指し大統領選前に合意する必要もないとした。この点で国連での演説内容は、直近の発言との整合性はあるが、市場内での10月の話し合いでの合意への期待は一気に後退した。一方で、中国側は、米国産大豆の輸入に新たな関税免除枠を設けるなど歩み寄りの姿勢を示している。

二転三転するトランプ発言については、いまに始まったわけではなく、流動的な状況が続きそうだ。そうこうしている内にこの日のコンファレンスボード消費者信頼感指数が前月から約10ポイントも落ちたように、消費者センチメントに影響が及ぶ可能性があり、長期化するほどに悪影響が顕在化し景気を傷つけることになりそうだ。水準自体が高いのが救いだが、落ち始めると早いのもセンチメント系指数の特徴ではある。

センチメント系指数というと早くも月末接近だが、8月に後退を意味する50割れを見たISM製造業景況指数がどうなるか。さらに10月に入ると7-9月期の決算発表が始まる。FRBの利下げをテコに高値水準での値動きが続いてきた株式市場だが、増益率が低下傾向だけにどこまで耐えられか。といっても、歴史的低金利に乗じた債券発行で調達した資金での自社株買いが株価のサポート要因となっているので、カネ余りの中で、いましばらくこの状態が続くのか。


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