館林のアメダスポイントが移設し1か月が経過した。そこで、新旧ポイントの最高気温を比較検証してみた。
まず、4つの仮説を立ててみた。
- 旧観測点の方が中心市街地に近いため、ヒートアイランド現象の影響により高い気温となる。その温度差は1℃程度。
- 新旧の気温差は気温が高くなるほど拡大する。
- 新旧の気温差は風の強い日ほど空気が拡散するため縮小する。
- 新旧の気温差は風向により異なる。北風の日は旧観測点の方が高く、東風の日は新観測点が高い。
<1つ目の仮説の検証>
7月2日から28日までの約4週間の観測では、旧観測点の方が平均で0.51℃高かった。これは想定の1℃より小さく、旧観測点が異常に高かったとは言えない。過去のデータや個人的に計測してきた観測値から、新旧の差を1℃程度と推定したが、意外と少なかった。
<2つ目の仮説の検証>
仮説通り、気温が高い方が新旧の差が拡大する傾向にある。ただし仮説から外れるデータもあり、自然現象の複雑なところ。
最も気温差が拡大したのは1.2℃。それは最高気温が30~35℃の時であり、35℃以上の猛暑日ではなかった。最高気温が30℃を下回ると最高気温は新観測点の方が旧観測点より高くなる傾向がある。
<3つ目の仮説の検証>
最大風速と温度差の関係を調べたが、仮説とは異なった。風が弱くても気温差が拡大するとは限らない。
<4つ目の仮説の検証>
最大風速時の風向と温度差の関係を調べたが、これも仮説とは異なった。気温が最も上がるのは中心市街地。旧観測点は市街地の南側にあるため、北風の時、気温が上がりやすくなる。また新観測点は市街地の西側にあるため、東風の時、気温が上がると仮説を立てた。しかし、中心市街地の熱気はそこまで運ばれなかったようだ。
グラフの横軸は、風向を0から15の16方位に分け、北を0、東を4、南を8、西を12とし表したもの。調査が7月のため、東風の4前後が多く、北風や西風の0や12はない。そのため比較することも出来なかった。